渋谷道頓堀劇場の再興に寄せて
私がはじめて渋谷道頓堀劇場を訪れたのは1995年12月の頭であった。
その年末にはもう劇場を閉鎖するという時期であった。影山莉菜や冴木しおりなど
魅力的な踊り子さんが所属する劇場でもあり、かねてより一度は見ておきたい
と思っていた。その時の香盤を紹介する。
高橋真希、井上リサ、神崎千春、木村かおる、花岡舞、日向レイ、氷室真由美
全てソロダンスショーのキリッと締まったいい内容であった。
前述の日経新聞の記事によれば、表向きには、小屋を閉める直接のきっかけは、
建物の賃貸契約の期限切れだったらしいが、本当の理由は、「興行のあり方に
疑問を抱いたから」と矢野浩祐同劇場社長は告白したという。
ストリップは、20年代に米国で始まったとされる。日本に輸入されてからは、
最初、額縁ショーではじまったように、「チラリズム」という言葉に代表される
独自の叙情的な舞台としてスタートした。ここに原点がある。「ちらり」でも、
求めるものはエロスである。しかしその表現方法は芸術である。エロスを求めていく
限り、画像や映像などメディア産業や風俗産業との競争は必至である。エロスを表現
していく限り、公然わいせつとの間で表現の自由の限界と戦うことになる。
時代の流れとともにそのウェイトは変化してきても、ストリップショーは、常にエロスと
芸術性の2面性を持ち続けてきた。時代に対応し、この二つの欲求の微妙なバランス
をとることはストリップショーの宿命かも知れない。様々な産業が盛衰する。画像や
映像メディアによってエロスが手軽に手にはいる。ストリップショーの魅力はライブで
女性のハダカを見ることにあると思う。女性のハダカは芸術とエロスの交錯するこの世の
神秘である。画像や映像メディア、風俗産業が追随できないストリップショーだけの
魅力がそこにある。
札幌での道劇復活をテレビで取り上げたドキュメント番組で、矢野浩祐は、自身を
「ストリップ馬鹿」と言い、清水ひとみは、「道劇の魅力を知って欲しい」と訴えた。
その思いが札幌で花開き、新たな時代を開く道劇チームが誕生し、渋谷に復活して
戻ってきたことに、私は何とも言えない感動を覚えた。その思いを受け、道劇に次々と
素晴らしい踊り子さんが生まれ育っていくのを本当に楽しみにしている。