早乙女夢美

ひと夏の思い出

2000年8月の20日間の限定でデビューしたスーパーダンサー ******************************************************************
 彼女の舞台は一生涯私の記憶に残るであろう。素晴らしい本格派ダンサー。
たまたま時間が空いて、誰が出ているのかも知らないまま、ふらっと東洋ショー
に立ち寄ってみた。場内のアナウンスは、「今週デビュー」と流れた。
舞台袖から中央へサッと歩いてピタッとスタートを待つ姿勢をとった。
その歩き方の安定感と自信あるステップ、一瞬で待ちポーズを決め微動だにしない。
その一瞬で、「これは只の新人じゃないぞっ」とすぐわかった。
 私の予感は当たった。そのステージは感動の連続であった。踊りのステップ、
手の振り付け、ターン、どれをとっても新人とは思えないどころか、
私が見てきた何百人という踊り子さんの中で間違いなくトップグループにはいる
素晴らしいものであった。
 早乙女夢美。静岡県出身。その当時20歳の学生だったと記憶している。
その夏の東洋デビューは、20日間限定の夏休みのアルバイトだったようだ。
彼女は、小さい頃より本格的にバレエを習い、何度もバレエの大会で上位に
入賞した経験のあるダンサーの卵だったのだ。女優の神田うのちゃんと友達と
いうかライバルでバレエの大会で何度も顔を合わせたことがあるそうだ。
 私はラッキーなことに彼女と話す機会を持てた。「これからどうするの?」と
聞いてみると、「バレエでヨーロッパに留学したい。ストリップはいい経験に
なった。予定通りこの20日間限り。」との事であった。
 「まだ学生やからまずはちゃんと卒業せなあかんな。一年や二年バレエ留学で
休学しても卒業はできるやろ。夢は追えるときに追っかけたほうがええ。
ストリップはいつでもやろうと思えばやれる。もし戻ってきたら応援するで。」
と私は伝えた。残念なことは否めないが彼女の人生のほうが大切だ。
 至上最強の新人ダンサー。たった2週間の彼女のステージに巡り合い、
彼女の踊る姿を記憶に焼き付けることが出来たことは幸運であった。