1971年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する
国際条約を改正する1992年の議定書


平成7年9月19日条約第19号
発効平成8年5月30日外務省告示第535号  
改正平成15年12月9日外務省告示第477号

この議定書の締約国は、
1971年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約及び同条約の1984年の議定書を考慮し、
適用範囲の拡大及び補償の拡充について定める同議定書が効力を生じていないことに留意し、
油による汚染に関する責任並びに賠償及び補償の国際的な制度を存続させることが重要であることを確認し、
1984年の議定書の内容ができる限り速やかに効力を生ずることを確保することが必要であることを認識し、
この議定書によって改正された条約が経過期間において改正前の条約と共存し、かつ、これを補足するように措置をとることが締約国にとって利益となることを認識し、
船舶によるばら積みの油の海上輸送によって生ずる汚染損害の経済的影響は、引き続き船舶の所有者及び油について利害関係を有する者によって負担されるべきであることを確信し、
1969年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約を改正する1992年の議定書が採択されたことに留意して、
次のとおり協定した。

第1条
 この議定書が改正する条約は、1971年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(以下「1971年基金条約」という。)である。1971年基金条約の1976年の議定書の締約国については、「1971年基金条約」というときは、同議定書によって改正された1971年基金条約をいうものとする。

第2条
 1971年基金条約第1条を次のように改正する。
1 1を次のように改める。
 1 「1992年責任条約」とは、1992年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約をいう。
2 1の次に1の二として次のように加える。
 1の二 「1971年基金条約」とは、1971年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約をいう。同条約の1976年の議定書の締約国については、「1971年基金条約」というときは、同議定書によつて改正された1971年基金条約をいうものとする。
3 2を次のように改める。
 2 「船舶」、「者」、「所有者」、「油」、「汚染損害」、「防止措置」、「事故」及び「機関」という語は、1992年責任条約第1条において定義されるこれらの語の意味と同一の意味を有する。
4 4を次のように改める。
 4 「計算単位」という語は、1992年責任条約第5条9において定義されるこの語の意味と同一の意味を有する。
5 5を次のように改める。
 5 「船舶のトン数」という語は、1992年責任条約第5条10において定義されるこの語の意味と同一の意味を有する。
6 7を次のように改める。
 7 「保証提供者」とは、1992年責任条約第7条1の規定に従つて所有者の責任を担保するための保険その他の金銭上の保証を提供する者をいう。

第3条
 1971年基金条約第2条を次のように改正する。
 1を次のように改める。
 1 「1992年の油による汚染損害の補償のための国際基金」(以下「基金」という。)と称する汚染損害の補償のための国際基金をこの条約により設立する。基金は、次のことを目的とする。
 (a) 1992年責任条約によつて与えられる保護が十分でない範囲において汚染損害の補償を行うこと。
 (b) この条約に規定する関連した目的を達成すること。

第4条
 1971年基金条約第3条を次のように改める。
 第3条 この条約は、次のものについてのみ適用する。
 (a) 次の区域において生ずる汚染損害
 (i) 締約国の領域(領海を含む。)
 (ii) 国際法に従つて設定された締約国の排他的経済水域。排他的経済水域を設定していない締約国については、その締約国の領海に接続しかつその締約国が国際法に従つて決定する水域であつて、領海の幅を測定するための基線から200海里を超えないもの
 (b) (a)の汚染損害を防止し又は最小限にするための防止措置(とられた場所のいかんを問わない。)

第5条
 1971年基金条約第4条の前の見出し中「及び補てん」を削る。

第6条
 1971年基金条約第4条を次のように改正する。
1 1中「責任条約」を「1992年責任条約」に改める。
2 3を次のように改める。
 3 基金は、汚染損害が、専ら又は部分的に、汚染損害を被つた者の作為若しくは不作為(損害をもたらすことを意図したものに限る。)又は過失によつて生じたことを証明した場合には、その者に対する補償の義務の全部又は一部を免れることができる。基金は、いかなる場合にも、船舶の所有者が1992年責任条約第3条3の規定に基づいて責任を免れたときは、その範囲で義務を免れる。ただし、防止措置については、この限りでない。
3 4を次のように改める。
 4(a) (b)及び(c)の規定が適用される場合を除くほか、基金がこの条の規定に基づいて支払う補償の総額は、一の事故について、その額と前条の規定によりこの条約の対象とされている汚染損害につき1992年責任条約に基づいて実際に支払われる賠償額との合計額が2億300万計算単位を超えないように制限される。
 (b) (c)の規定が適用される場合を除くほか、例外的、不可避的かつ不可抗力的な性質を有する一の自然現象によつて生じた汚染損害につき基金がこの条の規定に基づいて支払う補償の総額は、2億300万計算単位を超えないものとする。
 (c) (a)及び(b)に規定する補償の総額の最高額は、この条約のいずれかの三の締約国の領域内で前暦年中に受け取られた拠出油についてその量が合計6億トン以上となる期間がある場合において、当該期間中に生じた事故については、3億74万計算単位とする。
 (d) 1992年責任条約第5条3の規定に従つて形成された基金について生じた利子は、基金がこの条の規定に基づいて支払う補償の総額の算定上考慮に入れないものとする。
 (e) この条に規定する金額は、基金の総会が補償の支払の最初の日を決定する日に当該国の通貨が特別引出権に対して有する価値に従つて、当該通貨に換算する。
4 5を次のように改める。
 5 基金に対する確定された債権の額が4の規定に基づいて支払われる補償の総額を超える場合には、支払に充てられる金額は、確定された債権の額と債権者に対しこの条約に基づいて実際に支払われる金額との割合がすべての債権者について同一となるような方法で分配する。
5 6を次のように改める。
 6 基金の総会は、例外的な場合においては、船舶の所有者が1992年責任条約第5条3に規定する基金を形成していないときであつても、この条約に基づく補償が支払われることを決定することができる。この場合には、4(e)の規定を適用する。
(平成15年告示第477号改正)

第7条
 1971年基金条約第5条を次のように改める。
 第5条 削除

第8条
 1971年基金条約第6条を次のように改正する。
 1 1中「1」及び「又は前条の規定に基づく補てん」を削り、「これらの」を「同条の」に改める。
 2 2を削る。

第9条
 1971年基金条約第7条を次のように改正する。
1 1、3、4及び6中「責任条約」を「1992年責任条約」に改める。
2 1中「又は第5条の規定に基づく補てん」を削る。
3前段中「又は第5条の規定に基づく補てん」を削る。
4 3後段中「又は第5条1」を削る。

第10条
 1971年基金条約第8条中「責任条約」を「1992年責任条約」に改める。

第11条
 1971年基金条約第9条を次のように改正する。
1 1を次のように改める。
 1 基金は、第4条1の規定に従つて基金が支払つた汚染損害の補償の金額に関し、その補償の支払を受けた者が1992年責任条約に基づき所有者又はその保証提供者に対して有したであろう権利を代位によつて取得する。
2 2中「又は補てん」を削る。

第12条
 1971年基金条約第10条を次のように改正する。
 1中「拠出金は」を「年次拠出金は」に改め、「当初拠出金については次条1に、年次拠出金については」及び「それぞれ」を削る。

第13条
 1971年基金条約第11条を次のように改める。
 第11条 削除

第14条
 1971年基金条約第12条を次のように改正する。
1 1中「第10条に規定するそれぞれの者が支払うべき」を「支払われるべき」に改める。
2 1(i)(b)及び(c)中「又は第5条」を削り、「1500万フラン」を「400万計算単位」に改める。
3 1(ii)(b)を削る。
4 1(ii)中(c)を(b)とし、(d)を(c)とする。
5 2(a)及び(b)以外の部分を次のように改める。
 総会は、徴収されるべき拠出金の総額を決定する。第10条に規定するそれぞれの者の年次拠出金の額については、事務局長が、その総会の決定に基づき、各締約国に関し、
6 4を次のように改める。
 4 年次拠出金は、基金の内部規則に定める日に支払うものとする。総会は、これと異なる支払の日を決定することができる。
7 5を次のように改める。
 5 総会は、基金の会計規則に定めるところに従い、2(a)の規定に基づいて受け取られた資金と2(b)の規定に基づいて受け取られた資金との間で移転を行うことを決定することができる。
8 6を削る。

第15条
 1971年基金条約第13条を次のように改正する。
1 1を次のように改める。
 1 前条の規定に基づいて支払われるべき拠出金で支払が遅滞しているものには、基金の内部規則に従つて決定される率で利子を付する。その率は、状況に応じて異なるものとすることができる。
2 3中「第11条」を「前条」に改め、「3箇月を超えて」を削る。

第16条
 1971年基金条約第15条に4として次のように加える。
 4 締約国が2に定める通知及び送付を事務局長に対して行う義務を履行しない結果として基金に金銭上の損失が生じた場合には、当該締約国は、基金に対し当該損失について賠償を行う責任を負う。総会は、事務局長の勧告に基づき、当該締約国が当該損失について賠償を行うか行わないかを決定する。

第17条
 1971年基金条約第16条を次のように改める。
 第16条 基金に、総会及び事務局長を長とする事務局を置く。

第18条
 1971年基金条約第18条を次のように改正する。
1 1から14まで以外の部分中「第26条の規定が適用される場合を除くほか、」を削る。
2 8を次のように改める。
 8 削除
3 9を次のように改める。
 9 必要と認める臨時又は常設の補助機関を設け、それらの機関の付託条項を定め、及びそれらの機関が与えられた任務を遂行するために必要な権限を付与すること。総会は、補助機関の構成員を任命するに当たり、構成員の衡平な地理的配分及び最も多量の拠出油が受け取られている締約国が適切に代表されることを確保するように努めるものとする。総会の手続規則は、補助機関の作業について準用することができる。
4 10中「、理事会」を削る。
5 11中「、理事会」を削る。
6 12を次のように改める。
 12 削除

第19条
 1971年基金条約第19条を次のように改正する。
1 1を次のように改める。
 1 総会の通常会期は、事務局長の招集により毎暦年1回開催する。
2 2中「理事会の要請又は」 を削る。


第20条 1971年基金条約第21条の前の見出しを削り、同条から第27条までを次のように改める。
 第21条から第27条まで 削除

第21条 1971年基金条約第29条を次のように改正する。
1 1を次のように改める。
 1 事務局長は、基金の首席行政官であるものとし、総会の指示に従うことを条件として、この条約、基金の内部規則及び総会によつて与えられる任務を遂行する。
2 2(e)中「又は理事会」を削る。
3 2(f)中「又は、場合に応じ、理事会」を削る。
4 2(g)を次のように改める。
 (g) 前暦年における基金の活動についての報告を総会の議長と協議の上作成し、及びこれを公表すること。
5 2(h)中「、理事会」を削る。

第22条 1971年基金条約第31条1中「並びに理事会」を削る。

第23条 1971年基金条約第32条を次のように改正する。
1 (a)から(d)まで以外の部分中「及び理事会」を削る。
2 (b)中「及び理事会」を削る。

第24条 1971年基金条約第33条を次のように改正する。
1 1を削る。
2 2中「2」を削る。
3 (c)を次のように改める。
(c) 第18条9の規定に基づく補助機関の設置及びその関連事項

(第25条~第39条略)