奥田メモに戻る郭玉軍さん追悼２０２３年４月２３日付けの英文サイトに郭玉軍さん（武漢大学教授）の逝去が掲載され、バセドウ教授に続いて、再び大事な人を失ったことにショックを受けています。まだ５８歳の若さです。 https://conflictoflaws.net/2023/eulogy-for-professor-guo-yujun/ この英文サイトによれば、１９９１年１０月から１９９３年４月まで文科省の奨学金を受けて、北海道大学にいたと書かれていますが、それは、私のもとで研究生として滞在した時期のことです。 郭さんは、当時、国際金融法を研究テーマにしており、ちょうど有斐閣から澤木敬郎＝石黒一憲／監修、三井銀行国際金融研究討議グループ／著『国際金融取引』２巻本（有斐閣ビジネス）が出版されたところであったので、それをテキストにして、学部のゼミを募集したところ、２０名以上の学生が集まりました。これは、私にとって、後にも先にもない最多記録です。そのうち３名とは、まだ年賀状の交換が続いていますが、彼らもショックでしょう。 郭さんは、学部の研究生という身分だったと思うのですが、当時は、まだ外国人留学生が少なく、大学院生との二人部屋を与えられていました。私の研究室の斜め向かいです。大学院に進学するのか、それとも家族のために中国に帰るのか、かなり迷っていましたが、結局帰国したところ、中国人留学生がすぐに帰国するのは珍しいということで出世し、その後、武漢大学教授にまで上り詰め、国内の重要ポストに就いたり、欧米諸国や日本でも活躍しました。 郭さんの紹介サイト（武漢大学）は、まだアクセスできますが、ブランクになっています。あるいは、「永久欠番」のように、このまま残すつもりなのかもしれません（２０２３年８月１４日更新）。 http://law.whu.edu.cn/info/1233/5280.htm ２０００年には、当時ハンブルクに滞在していた私を訪問してくれたことがあります。たしか郭さんは、イギリス滞在中であったと記憶しています。２０１８年には、九州大学で比較法アカデミーの研究大会が開催された時に、ばったり会いましたが、ちょうど関東地方に台風が近づいているということで、私は急遽帰京し、翌日の郭さんの報告を聞くことはできませんでした。 メールでのやりとりは、時々ありましたが、最近は少なく、音信が途絶えていました。今年の１月に久しぶりにメールが届いたので、拙著『国際私法と隣接法分野の研究・続編』を送りましたが、短い謝礼メールが届いただけでした。今から思えば、病気ではないのかともっと問い詰めればよかったと後悔しています。 ５８歳といえば、やり残したことも多かっただろうと思います。郭さんの分まで頑張らねばと気を引き締め、思いつく限りを書きました。 （２０２３年４月３０日追記） ある人からの情報提供をもとに、武漢大学のサイトを調べたところ、追悼特集のページが設けられていました。 https://law.whu.edu.cn/ctdngyjjs.htm 中国語ですので、正確には分かりませんが、各方面の追悼文・略歴・研究歴・思い出の写真・学生の追悼文・追悼文の送信フォームからなっているようです。ただ大きく掲載された写真は、本人のイメージと異なります。 私は、下記のとおり、英文の追悼文を送りました。 I am deeply sorry for the loss of Professor GUO Yujun. She was my student with intelligence, diligence, and sense of humility when she was at Hokkaido University from October 1991 to April 1993. Although she returned to Wuhan after short stay in Japan, we were in contact with each other. I received her last e-mail in January 2023. I do not believe that she passed away only months later. OKUDA Yasuhiro, Professor emeritus at Chuo University (Tokyo) and Hokkaido University (Sapporo) その後、中国のメディアが郭玉軍さんの死去を報じていることが分かりました。これは、彼女が中国共産党の幹部であることによるのでしょう。かつて郭さんから私あてに、中国共産党の幹部になったことを報告するメールが届きましたが、私は、そういうことに関心がないので、放置していました。２０１８年に九州大学で会った時の郭さんは、昔のままでしたが、政治的には、重要なポストにいたのだということを実感しました。 https://newmediamax.com.tw/article/1iw6pb9esifct.html https://www.ntdtv.com/b5/mkt_ipad/2023/04/26/a103699615.html --------------------------------------------------- Copyright (c) 2023 Prof. Dr. Yasuhiro Okuda All Rights Reserved |
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