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       献本事情



国内の献本】【海外への献本


2024年末に『欧米諸国から見た日本法――多様な視点を求めて』(共編著、中央大学出版部、2024年)を出版し、印税や無料献本50冊(送料込み)を執筆者7名でほぼ等分にしました。

その際に、昨今の郵便事情(とくに国際郵便)の悪化や国内でも送付先の確認などに苦労したので、その経験をもとに、〔執筆・校正・出版〕に「献本の送付」という項目を設けました。しかし、新年を迎えたのを機に、当該項目を削除し、新たにウェブページを立ち上げました。

国内の献本

かつては、献本をする際に、まず最新の学会名簿で自宅の住所などを確認していましたが、最近は、学会名簿を廃止する例が増えています。医学系の学会の例ですが、
 https://www.jsgcs-q.jp/
 リンク

そこで、Googleなどで所属先を確認しますが、中には、「大学あてに送ってもらっても、届かないことが多いので、自宅に送ってほしい」という人がいます。ところが、当の本人が転居の案内メールさえ寄こさないので、かつて「転居先不明」で出版社宛てに返送されてきたことがあります。メールで現在の自宅住所を問い合わせるのも筋違いですから、憤慨して、その人には、二度と献本を送らないことにしました。

また、各大学が独自の対応を定めていたり、中には単に事務がルーズなため、郵便物が度々紛失したりする大学もあるようです。日本の研究者は、今でも礼状メールくらいは送ってくださるのですが、このような場合には、献本が届いたことさえも、本人が知らず、また出版社に返送されるわけでもないので、私も事情が分かりません。あるいは、本の内容が気にいらなかったのかと思い、以後は、献本を送らないようにしています。

独自のルールを定めている例としては、
 https://bunnkei-kanribu.jim.tmu.ac.jp/shomu/mail/
 リンク

礼状(メール)の例については、
 https://biz.moneyforward.com/work-efficiency/basic/10741/
 https://masterpublish.com/thanksletter/

今回は、少なくとも私の献本分については、メールを送って、宛先を確認しましたが、よく考えれば、献本にそんな手間がかかるのであれば、もう献本はやめてしまおうかと思うことがあります。学会名簿の廃止は、プライバシー保護を目的としているようですが、そのような弊害があることも知って頂きたいです。国際私法学会では、かつてパスワードを設定して、会員には名簿をメールで送っていた時期がありましたが、数年前から完全にやめてしまったようです。

さらに勤務先に送る場合にも、Researchmapには、「現在の所属先」が掲載されているのに、大学のサイトの教員一覧には、その人が掲載されていないということがありました。同じ大学の別の人に問い合わせのメールを送ったところ、もう何年も前に退職していることが判明したので、その旨を献本依頼者に伝え、宛先を自宅住所に変更してもらいました。ちなみに、私は、今でも、Researchmapの更新をきちんと行っています。

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海外(とくにドイツ)への献本

 日本郵便のサイト ドイツ大使館のサイト 郵便物の追跡 2024年以降の状況
 今回の献本の結果



以下では、日本とドイツのサイトを検索し、今回の献本送付の経験から、必要な情報をお知らせします。

日本郵便のサイト

ドイツあて郵便物の注意事項
https://www.post.japanpost.jp/int/information/2022/0603_01.html

「ドイツ宛てに、書籍やカレンダーなど金銭的な価値があるものを手紙(書状)や印刷物として送ると、通関電子データが送られていないことを理由として返送される事例が発生しています」との注意事項が書かれています。

「書類」に該当するもの
https://www.post.japanpost.jp/int/service/letter_definition.html

ところが、当の郵便局のサイトでは、書籍は「書類」に含まれています。その結果、あるドイツ人が日本からの献本のため2回ほど税関に呼び出され、長時間待たされた挙句、うち1回は、僅かばかりの関税を支払わされたと言って、(なぜか)私あてに長文のドイツ語メールで苦情が届いたことがあります。

国際郵便マイページサービス
https://www.post.japanpost.jp/intmypage/whatsmypage.html

数年前から、主要国への国際郵便については、データの入力が必要となっています。郵便局に行く前に、このサイトに登録し、送り先などを入力しておけば、情報が保存され、郵便局でデータをプリントアウトしてくれます。

献本の場合は、必ず「物品」を選び、価額(本の本体価格)を入力してください。①「書類」を選んだら、価額を入力する欄がありません。②価額が不明である場合は、受取人に税関への出頭要請の通知が届きます。③一定期間、受取人が出頭しない場合は、日本に返送されますが、通常、返送には船便が使われるので、何か月も後に、今度は、差出人のもとに日本の郵便局から通知が届きます。④差出人が返送の費用を支払わなければ、本が没収され廃棄されます。

ドイツ大使館のサイト

https://japan.diplo.de/ja-ja/service/post-2208200


関税・税金:
内容物が45ユーロを超えたら、課税対象となり、受取人が関税を支払うため、税関に出頭する必要があります。
荷物が税関に留め置かれている場合:
受取人が税関に出頭せず、一定期間を過ぎたら、献本は日本に返送さえれます。発送者(出版社や著者など)は、郵便局から通知を受け、返送費用を支払わなかったら、献本は没収され廃棄されます。

郵便物の追跡

日本郵便の追跡サービス
https://trackings.post.japanpost.jp/services/srv/search/
*かつては、ドイツの税関までしかフォローできませんでした。今は、最終の宛先までフォローできたり、現地の留置局止まりで、宛先に届いたのか否か、不明な場合があります。その場合は、郵便物が届いたかどうかを宛名人にメールで問い合わせるしかありません。

DHLのTracking
https://www.mydhli.com/global-en/home/tracking.html
*DHLは、日本では宅急便業者と思われていますが、ドイツ国内の郵便はDHLであり、日本郵便で出した荷物の追跡もできます。ただし、最終の宛先までフォローできたり、現地の留置局止まりで、宛先に届いたのか否か、不明な場合があります。その場合は、郵便物が届いたかどうかを宛名人にメールで問い合わせるしかありません。

2024年以降の状況

国際郵便物の差出可否早見表(2024年11月15日現在)
https://www.post.japanpost.jp/int/information/overview.html

昨年から状況が一段と悪くなっているようです。たとえば、上記のサイトで「ドイツ」や「オーストラリア」を検索したら、以下のとおり書かれています。
(遅延)航空機の減便等により運送スペースが不足していることから、航空機への搭載に大幅に時間を要します。
今回出版した本の分担執筆者4名はドイツ在住、1名はオーストラリア在住ですので、上記のような事情を説明した英語の文書を作成し、少なくとも分担執筆者のもとには、本が届いたかどうかを知らせるよう依頼しました。通常、海外の研究者は、献本が届いても、礼状メールなどを送りませんが、今回は、分担執筆者以外の献本送付先についても、何人かは到着を確認できました。ただし、両国あての航空便(EMS)は、通常は1週間で届くのですが、今回は、2週間以上かかっています。

今回の献本の結果

昨日、中央大学の比較法研究所からメールが届き、ドイツ在住者あての1冊が返送されてきたそうです。今回は、大学が返送費用を支払い、本を回収して、共編著者であるマーク・デルナウア教授の研究室に送ってくれるそうです。

すぐ私がドイツにメールを送り、その旨を知らせたところ、今年の来日の際またはデルナウア教授の訪独の際に本を手渡すことになるだろうとのことで、一安心しました。念のため宛先(自宅住所)を再度確認したところ、間違いないそうで、おそらくドイツの郵便配達のミスであると思われます。理由は二つです。

第1に、他の海外在住者4名からは、無事に自宅で本を受け取った旨のメールが届いており、宛先を自宅住所にしたこと自体は、間違っていなかったと思います。第2に、私が1981年に初めてドイツに滞在した際にも、日本からの郵便物が届かなかったことがあり、差出人から「返事も寄こさない失礼な奴だ」と非難されたことがあります。

日本でも年末年始には、たまに郵便配達のアルバイトが郵便物を配達するのが面倒で、捨ててしまったという話があり、またドイツなど海外では、通常でも、郵便配達人がうっかり配達を忘れていたという話もあるので、郵便の事故は仕方ないのかもしれません。面倒でもメールで確認する必要は、今後も続きそうです。

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