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国際私法参考文献の解説


奥田安弘
*以下は、2022年度の授業において配布した資料を適宜修正したものである。次年度以降のフォローは、各自で行って頂きたい。


○体系書
山田鐐一『国際私法〔第3版〕』有斐閣、2004年
溜池良夫『国際私法講義〔第3版〕』有斐閣、2005年
*山田・溜池は、通則法の制定前の出版であるが、依然として重要文献である。財産法については、物権の規定は旧法と全く同じであるし、条理によるべき様々な問題(法人、知財、債権債務関係など)は、まだ山田・溜池説が重視される。家族法については、実質的な改正は、行為能力、後見開始の審判、失踪宣告、後見に関する規定のみであるから、なおさら山田・溜池が重要である。

奥田安弘『国際財産法』明石書店、2019年
奥田安弘『国際家族法〔第2版〕』明石書店、2020年
*これらは、山田・溜池を踏まえながらも、批判的に考察し、問題提起を試みると同時に、山田・溜池では、あまり取り上げられていない国際民事手続法を詳しく取り上げる。ただし、法科大学院用に執筆したわけではないし、そこに書かれていることを暗記しても、司法試験や学期末試験の答案を書けるわけではない。

○その他
櫻田嘉章=道垣内正人編『注釈国際私法 第1巻・第2巻』有斐閣、2011年
*多数の執筆者による注釈であるので、中には明らかな誤りを書いているものがある。

道垣内正人=中西康編『国際私法判例百選〔第3版〕』有斐閣、2021年
*掲載判例は、判旨が適切でないものがあるので(最高裁判決でさえも)、批判的に読む必要がある。むしろ事実の概要が重要である。解説は、事案の解決よりも一般的な説明が多く、注釈国際私法と同様に、明らかな誤りを書いているものがある。

〇六法
有斐閣の六法でいえば、『ポケット六法』またはそれ以上の収録数のあるものを使用すること。『判例六法』は、収録数が少ない。また、『司法試験六法』は過不足があるうえ、ビギナーには向かない。



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