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4: 東北支部 秋田県代表 秋田市立山王中学校 金賞 (指揮:木内恒)4年連続33回目
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:バレエ音楽「三角帽子」より 粉屋の踊り、終幕の踊り(M.ファリャ/天野正道)客席もだいぶ温まって来たのか、非常にクリアなサウンドが会場に響きわたりました。音の存在感は非常に持ったバンドですが、全体を通して、ユニゾンの精度が甘く、全体のバランス的にもブレンド感が感じられなかったのが残念です。マーチとしても、6/8のリズムが不安定で、終始こちない流れになってしまいました。自由曲は、往年の吹奏楽ファンなら、一気に1975年にタイムスリップ゚してしまいそうな粋な選曲です。課題曲と比較すると、飛躍的にサウンドのバランスも、アンサンブルの精度もそのレベルを引き上げていました。特に中盤以降は、レンジの広いサウンドと躍動感いっぱいの音楽とのコラボレーションが、見事な化学反応を起こしていました。親子二代で、同じ楽曲により金賞を受賞しましたが、今の時代ならではの天野氏の見事なオーケストレーションも、華を添えていました。 |
8: 東関東支部 千葉県代表 松戸市立第一中学校 金賞 (指揮:栢木幸宏)初出場
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥)非常にクリアなサウンドが鳴り響いてきた課題曲のイントロでしたが、サウンド全体としてブレント感がさらに欲しいかなという印象でした。しかし、個々の奏者の演奏力は高く、緻密なアンサンブルが心地よいマーチに仕上がっていました。そんな中で、チューバが時折発音ミスを見せていたのは惜しかったと思います。自由曲では、全く別の世界観を作り上げるのに成功していました。エッジのあるサウンドがこの楽曲にマッチしていて、精度の高いアンサンブルがそれを後押ししていたように感じられたのが、中学生としては驚きでした。旋律もしっかりと際立ち、全体の音楽作りも緻密で映像的でしたが、ここでも時折犯してしまう発音ミスが残念でした。サウンドのハランス作りも、特に、低音部に関して、細かく配慮してほしかった感じです。 |
9: 東海支部 三重県代表 鈴鹿市立白子中学校 金賞 (指揮:中山かほり)初出場
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:歌劇「蝶々夫人」セレクション(G.プッチーニ/大橋晃一)非常によくブレンドされたサウンドからスタートした課題曲は、主題のハーモニーの重ね方など、今年聞いてきた課題曲4番の中でも、秀逸のアナリーゼが施された秀演でした。ただマーチそのものはやや重めなイメージで、随所でアンサンブルが崩れたり、発音ミスが散見されたのが残念です。自由曲は、冒頭こそユニゾンの精度が甘く感じられましたが、その後は高い精度を持ったアンサンブルと、重厚なサウンドが楽曲にマッチした好演になりました。終盤ではサウンドに温もりも加わり、感動的なクライマックスへと会場全体を導くのに成功していました。ただ、低音セクション、バストロあたりで破裂音が時折で顔を出していたのが、個人的な好みとしては、やや残念だったかなと思います。しかし、最後まで集中力を切らさない奏者の音楽力は見事でした! |
10: 西関東支部 埼玉県代表 さいたま市立岸中学校 金賞 (指揮:星野悦子)2年ぶり3回目
課題曲3:「斎太郎節」の主題による幻想(合田佳代子)
自由曲:歌劇「ばらの騎士」組曲より(R.シュトラウス/渚智佳)非常に安定したハーモニーを伴ったイントロからスタートした課題曲は、旋律が際立った、楽曲の世界観をうまく再現した好演でした。アンサンブルも緻密で、バランスもよく練られていましたが、発音ミスが散見されたのが、残念といえば残念。スネアのチューニングもこの楽曲には、やや違和感を感じました。自由曲は勇壮なホルンからスタートしますが、発音にはより正確さを求めたいところでしょうか。その後は、レンジの広いサウンドが心地よく楽曲の世界観を再現していましたが、ハーモニーに多少のブレが見られたり、旋律が埋もれてしまうなど、音楽がやや平坦になってしまっていたのが残念でした。持ち前のダイナミックなサウンドを生かす、更なるスキルアップに期待したいところです。 |
14: 東関東支部 千葉県代表 松戸市立第四中学校 金賞 (指揮:須藤卓眞)2年連続6回目
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:蒼氓愛歌〜三つの異なる表現で〜(清水大輔)課題曲のイントロにおけるオーケストレーションは、やはりこの百戦錬磨のバンドでも苦労しているようでした。しかし、バランスのよいクリアなサウンドは、それまでの流れを払拭するような存在感で、アンサンブルの精度も高い秀演でした。ただマーチとしては、ややチューバの刻み等、リズムの流れが停滞気味だったかも知れません。終盤の木管の細かいパッセージの生かし方はさすがです。自由曲は、今年流行りの1曲になりましたね。バンダはこのバンドについてはステージ前方で行っていましたが、他のバンドと同じく、後方で行った方が、音楽のブレンド感としては効果的だったのではないかと思いました。その後は、緻密なアンサンブルと、個々の奏者の演奏力が高いレベルで合体した好演で、指揮者がバンドの音色と音量を自在に操っているかのような錯覚を覚えるほどの音楽力の高さを見せつけていました。 |
1: 関西支部 兵庫県代表 加古川市立浜の宮中学校 銀賞 (指揮:中原淳子)3年連続7回目
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:白磁の月の輝宮夜(樽屋雅徳)課題曲は、6/8の刻みが心地よいイントロからスタートしました。ただ、朝一番の出演順からなのか、全体的に中域の楽器がバランス的に弱めで、低音と旋律とリズムだけが際立つ、バランスの悪いサウンドになってしまったのが、残念でした。ピッチやハーモニーは安定していましたが、全体のブレンド具合もいま一つで、終盤はトロンボーンがやや音量過多かなという印象で、ホールの空気の流れにうまく音楽が乗り切らなかった感じです。自由曲は、男子生徒による和太鼓5人組の颯爽としたパフォーマンスを擁した好演でしたが、サウンドに更に艶が欲しかったかなというのと、低音楽器がやや弱めで、全体のバランスとしても、旋律が埋もれがちになっていました。やはり朝一番というのは、中学の体力では、なかなか凌駕する事が難しいようです。 |
2: 東京支部 東京都代表 小平市立小平第三中学校 銀賞 (指揮:澤矢康宏)2年ぶり10回目
課題曲3: 「斎太郎節」の主題による幻想(合田佳代子)
自由曲:ファントム・ドゥ・ラムール−幻影−(天野正道)イントロはややハーモニーが濁ってしまったでしょうか。その後は旋律が際立ったバランスのとれた好演でしたが、やや発音ミスが目立っていたのが、残念。また、少々大人の色気を付け過ぎたかも知れません。自由曲は、楽曲の世界観を的確に再現し、骨太なサウンドがよくマッチした好演でした。そんな中で、低音楽器、特にチューバはより、クリアな発音を求めたかったところです。SAXセクションのアンサンブルや、フルート、2人のオーボエ奏者の演奏は流麗で、これを土台に、金管楽器をどう艶やかにブレンドさせるか、その辺りが今後の課題となりそうです。演奏力そのものはもともと高いバンドなので、問題点はすぐにクリアして来るだろうと期待しています。 |
11: 東海支部 静岡県代表 浜松市立開成中学校 銀賞 (指揮:加藤幸太郎)2年連続2回目
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:イーストコーストの風景(N.ヘス)レアなサウンドからスタートした課題曲は主題のユニゾンの精度が甘く、金管と木管のバランスも悪いからか、やや焦点がぼやけた音楽になっていました。そんな中で、マーチのリズムを的確に引っ張った打楽器セッションの音楽的なパフォーマンスが好印象でした。全体を通して、特に金管の発音ミスが目立ったのは残念です。自由曲は、序盤の豊かな木管の響きが心地よい世界観を作っていましたが、もう一歩、細かいパッセージを揃えてほしかったところです。しかし、この辺りからサウンドも程よくブレンドされ、伸びのある高音ブラスのサウンドが効果的に音楽に色彩感をもたらしていました。リズム感も程よく、アンサンブルも安定を見せた自由曲の充実ぶりが印象的でした。特に、中盤のトランペットソロの音色の美しさには心洗われる思いがしました。 |
12: 中国支部 広島県代表 広島市立安佐中学校 銀賞 (指揮:岡田正文)2年連続2回目
課題曲1: 最果ての城のゼビア(中西英介)
自由曲:ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥)今年も大会を通して演奏される頻度の少なかった課題曲1番。序盤からよく整理された、個々の演奏力の高い音楽を聞かせました。特にユニゾンの精度が高く、全体を通してもアンサンブルが安定した秀演だったと思います。やや打楽器がバランス的に強かったでしょうか。その分管楽器が全体的におとなしめに聞こえてしまっていたのが残念でした。自由曲においても、精度の高いアンサンブルは健在で、バランスのいいサウンドも相まって、相対的に質の高い音楽を演じきっていました。ただ、全体を通して、音楽がややあっさり目で、コントラストの付け方の工夫や、集中力を保った音楽の持続力や、音楽的な押しの強さみたいな主張も欲しかったところです。しかし、総じて音楽力の高いバランスの取れた好演だったと思います。 |
15: 北陸支部 福井県代表 鯖江市中央中学校 銀賞 (指揮:佐々木和史)18年ぶり2回目
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:信長〜ルネサンスの光芒(鈴木英史)クリアなサウンドでスタートしたマーチでしたが、サウンドは全体的に艶がなく、また6/8のリズムが重く、緩いマーチになってしまいました。他のバンドよりも遅めのテンポ設定でしたが、そのテンポならば、さらにタイトなサウンドと音楽を演じるアプローチが欲しかったところです。自由曲は、全体を通して、全ての音楽の要素が鳴り合ってる感じで、音楽的な整理がまだまだ必要だったのではないかなという印象でした。打楽器のバランスもこういう楽曲においてはさらに気をつかって欲しかったところです。全体的に個々の奏者の演奏力は高いという印象でしたが、そうした素材をどう生かすのか、全国大会においてはそうしたアプローチも求められる事でしょう。 |
3: 北海道支部 函館地区代表 函館市立戸倉中学校 銅賞 (指揮:杉山裕規)初出場
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:歌劇「蝶々夫人」より(G.プッチーニ/玉手道男)課題曲のイントロは、サウンドが非常にレアで、鋭角的にかつストレートに客席に伝わって来ました。全体のバランスもいまひとつで、6/8のマーチのリズムもやや停滞気味だったでしょうか。楽曲全体としても、更なるアナリーゼの余地があるように感じました。場面ごとのメリハリも不足しがちで、終盤はアンサンブルも乱れ、雑然とした音楽になってしまいました。自由曲は、冒頭の速いパッセージは、より高い精度で合わせて欲しいかなという印象でした。全体としては、音楽の流れをよく掴んでいましたが、アリアの音楽表現など、まだまだ音楽的に追求できる余地はあったような気がします。また、ここでも場面ごとのサウンドの劇的な変化等、音楽にメリハリが欲しかったところです。 |
5: 西関東支部 埼玉県代表 川口市立神根中学校 銅賞 (指揮:星野清吾)初出場
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:三つのジャポニスム(真島俊夫)課題曲のイントロはやや雑然となり、その後のマーチに入っても、アンサンブルが安定せず、終始重めのマーチになってしまいました。また高音部のピッチが悪く、サウンドとしても終始暗い雰囲気となり、発音ミスも散見されました。またマーチというカテゴリーでは、スネアのサウンド作りにも一考の余地があったのではないでしょうか。自由曲は、和の世界観を作り出すには到っていませんでしたが、映像的な表現力が心地よい音空間を作り出していました。ただ、ここでもソロ楽器のピッチ等不安定要素は多く、たとえばティンパニのマレットの選び方ひとつ取っても、研究研鑽の余地はまだまだあったのではないかと思います。中盤以降は持ち直して、サウンドや音楽も本領を発揮し始めた感じではありました。 |
6: 東北支部 福島県代表 南相馬市立原町第一中学校 銅賞 (指揮:阿部和代)2年連続7回目
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:交響詩「ドン・ファン」(R.シュトラウス/森田一浩)課題曲は、イントロから音がこもり、マーチの流れも悪く重い音楽になってしまいました。場面ごとのメリハリも足りなかったようです。また時折、音楽が作為的になってしまうのも、マーチというカテゴリーの中にあっては、少々違和感を感じました。さて、課題曲においては重いと感じたサウンドが自由曲では、その組み合わせの妙か、自由曲ではシュトラウスの世界観を的確に表現するのに成功していました。ただ、速いパッセージや付点音符の感じ方など、こうした音楽では欠かせない緻密なアンサンブルにはやや遠く、技術的な研鑽が望まれるところでしょう。また弱奏部分での安定感も培ってほしいところです。しかし、課題曲と自由曲で別バンドのような変身ぶりには驚かされ、終盤、自然で立体的な音楽が構築されて行くのに、ビックリさせられました。 |
7: 四国支部 愛媛県代表 松山市立南中学校 銅賞 (指揮:西村恵美)4年ぶり9回目
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より シャコンヌ(J.S.バッハ/森田一浩)課題曲は、颯爽としたイントロと前進力のあるマーチが心地よかったのですが、サウンドが全体を通してレアで、音楽が終始雑然としてしまっていたのが残念でした。全体の流れとしても、勢いだけではなく、細かい音楽構造の組み立てに時間をかけて取り組んでほしいところです。自由曲は、冒頭部分で頭がそろわず、緊張感が一気に緩んでしまいました。全体を通しても、音楽が平坦で、奏者は高い演奏力を持ちながら、非常に勿体ないなという印象を受けました。そんな中でも、自由曲ではハーモニーにも安定感が増し、終盤は心地よいトゥッティの応酬を楽しめました。 |
13: 九州支部 宮崎県代表 宮崎市立大淀中学校 銅賞 (指揮:川ア徹)29年ぶり4回目
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥)課題曲は冒頭から集中力を欠いた感じで、全体を通しても重いマーチになってしまいました。サウンドそのものはバランスのとれた美しいものを持っていますが、マーチというカテゴリーの中にあっては、エッジのある部分や、音楽的な前進力が求められるところでしょう。自由曲になっても、そのサウンドカラーは変わらず一色で、強引に音楽を進めていこうという感じでしたが、1曲の中で、場面ごとに色彩感を変える等の工夫がやはり欲しいところです。アンサンブルにおいても、よりブレをなくす為にどうするべきか的な方法論を追求する必要があるでしょう。持ち前のサウンドを十分に生かすスキルアップが望まれます。 |
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1: 西関東支部 埼玉県代表 越谷市立大相模中学校 金賞 (指揮:田中秀和)初出場
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:歌劇「道化師」より(R.レオンカヴァッロ/福島弘和)クリアで重厚な、心地よいサウンドでスタートした課題曲。6/8のマーチのリズム展開もすばらしく、しっかりとアナリーゼが施された秀演でした。オーケストレーション的なバランスも絶妙で、なんといっても、細かい装飾音符、トリオでの裏打ちの連符等、妥協のない音楽の積み重ねが結集した、今年のコンクールを通しても最高峰の課題曲2番だったと思います。自由曲でも、その粒断ちのよいサウンドは健在で、特にユニゾンの精度の緻密さ、音色の美しさ、ハリと芯も充分で、終始安心して音楽に身をゆだねることが出来たと思います。トゥッティも決してうるさくならず、豊かなサウンドを展開していました。全体を通して、更に音楽の情感のようなものが表現されると、音楽の質感がよりアップして行くのではないでしょうか。 |
4: 東海支部 愛知県代表 日進市立日進中学校 金賞 (指揮:清野雅子)3休明け5回目
課題曲1: 最果ての城のゼビア(中西英介)
自由曲:交響詩「ローマの噴水」より(O.レスピーギ/清野雅子)非常にエッジを持った、体力のあるサウンドでスタートした課題曲は、譜面に書かれている事を過不足なく表現する好演でした。ただ、時折音の処理が雑になったりする部分があり、より自然で豊かな音楽の流れや響きを追求して欲しいところです。また、細かい発音ミスも残念でしたが、音楽の要素のひとつひとつがしっかりと練り上げられ、組み立てられたアナリーゼの行き届いた演奏でした。自由曲はタイトで芯の通ったサウンドと音楽作りが秀逸でした。質の高い絶妙なアンサンブルも心地よい音空間を作り上げていました。そんな中で、トゥッティの響きが、鋭角的なものだけでなく、耳辺りのいい部分も欲しかったのと、トロンボーンのサウンドがややバンドから離反していたのが残念でした。しかし、全体を通して、ハーモニーも美しく響きわたる心地よい音楽のシャワーが会場いっぱいに降り注がれていた名演だったと思います。 |
9: 東関東支部 千葉県代表 柏市立酒井根中学校 金賞 (指揮:犬塚禎浩)3休明け10回目
課題曲3:「斎太郎節」の主題による幻想(合田佳代子)
自由曲:彩雲の螺旋〜吹奏楽のための〜(中橋愛生)課題曲の冒頭のハーモニーはまるで水墨画のようなトーンで、その後の木管のユニゾンは、一人の奏者が演じているかのような緻密さ。この時点で全て持って行かれた感満載の課題曲でした。まさに活きた音楽を生で聴く事の素晴らしさを今年も体感する事が出来ました。そんな中で、打楽器セクションにおいてスネアが非常に冷静に音楽の組み立てに従って刻まれているのに比べて、他の楽器や特に鍵盤打楽器が、少々無神経に叩く場面があるように感じられたのが惜しかったと思います。自由曲は、隅々までアナリーゼが施された名演で、寸分のブレも感じさせないほどの集中力と、ユニゾンやアンサンブルの緻密さに脱帽の、聞く側にとってはこの上もなく幸せな12分間でした。個人的にはこのサウンドと演奏力によるアレンジものなんかも聞いてみたい感じはしました。 |
12: 関西支部 大阪府代表 大阪市立喜連中学校 金賞 (指揮:南由賀)初出場
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/後藤洋)やや速めの6/8でしたが、ユニゾンや木管のハーモニーが美しく揃った、タイトで芯の通った音楽とサウンドでした。ただ、その速めのテンポのせいか、終始淡々と音楽が進みすぎた感があったのが残念。時間に追われていたわけではないのであれば、最適なテンポの模索というのも求められるところです。終盤はアンサンブルにも微妙なブレが見られました。自由曲は、よく訓練されたアンサンブルと、伸びの良いサウンドが秀逸でしたが、全体的に音の処理が粗雑な部分が見られたのは残念です。しかし、この経験を経て、今後劇的にスキルアップして行くのでしょう。もちろん今回の演奏も、中学生としては高いレベルのスキルを持った演奏でした。 |
14: 関西支部 兵庫県代表 宝塚市立中山五月台中学校 金賞 (指揮:渡辺秀之)2年連続11回目
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:大いなる約束の大地〜チンギス・ハーン(鈴木英史)以前までは、全体的にこもった曇りのあるサウンドというイメージでしたが、今年の演奏はそれを一新させる、クリアで重量感のあるサウンドに変身していました。6/8のテンポ設定とリズム感も素晴らしく、前進感のあるマーチに仕上がっていたと思います。アナリーゼもよく施されていましたが、ハーモニーが更にクリアになると、鬼に金棒となる事でしょう。更に、随所でのテンポの乱れと、発音やアンサンブルのブレもこの時間帯の演奏ならば完璧を目指したいところです。今年の中学の部は、マインドスケープとチンギスハーン祭りでしたが、トリもやはりチンギスハーン。演奏された同じ楽曲の中でも、よくアナリーゼが施された、楽曲の世界観を的確に表現した好演だったと思います。ユニゾンも緻密なだけでなく、しっかりと芯を持っているのが、音楽全体を大きく聞かせていました。またティンパニのサウンドが管楽器との兼ね合いの中で、溶け込んで一体化していたのも印象的でした。淡々とした音楽の流れの中にも、しっかりと主張を持った秀演で、中学の部を締めくくっていました。
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2: 北海道支部 札幌地区代表 札幌市立白石中学校 銀賞 (指揮:多米恵理子)3休明け5回目
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:吹奏楽のための風景「陽が昇るとき」より(高昌帥)レンジの豊かなサウンドでスタートした課題曲でしたが、やや6/8のマーチに重さを感じました。旋律と対旋律とのバランス等にも一考の余地ありです。終盤は更なるアナリーゼによる音楽的な整理が望まれるでしょう。自由曲はファンファーレからのスタートでしたが、ハーモニーがすっきりとせず、譜面に書かれていた以上のアプローチも望まれるところです。その後は、緊張感を持った集中力で、ラストまで駆け抜けて行きました。個々の奏者の演奏力には高いものを感じましたが、それぞれの発音を細かく揃えたり、自然なフレージングを同じように感じさせる等、音楽をよりタイトに聞かせる方法論も必要なのではないでしょうか。 |
3: 中国支部 島根県代表 出雲市立第一中学校 銀賞 (指揮:段真大)3休明け42回目
課題曲3:「斎太郎節」の主題による幻想(合田佳代子)
自由曲:交響詩「ローマの祭」より、五十年祭、十月祭、主顕祭(O.レスピーギ/森田一浩)非常にシンフォニックな響きを持ったバンドです。課題曲における譜面の再現力は抜群で、質の高いアンサンブル、旋律の聞かせ方を見せていました。和の旋律の歌い方も非常に自然なものを感じました。ただ、全体のサウンドのバランスや、テンポ設定など、大人がやらなければならない事を詰めきれないままに全国大会を迎えてしまった感じだったでしょうか。自由曲は弱奏部分におけるハーモニーの重ね方の不自然さをまず感じました。音楽的なメリハリもまだまだいくらでも付けられる余地はあったはずです。しかし、個々の奏者のレベルは非常に高いものがあり、冷静な音楽運びは中学生の域を超えている部分も感じられました。現在の指揮者は赴任一年目ですが、恵まれた素材をいかに着飾らせることが出来るのか、今後の手腕に期待したいと思います。 |
5: 九州支部 福岡県代表 福岡市立長丘中学校 銀賞 (指揮:菊地亨介)初出場
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:ラッキードラゴン〜第五福竜丸の記憶(福島弘和)ダイナミックでクリアなサウンドからスタートした課題曲ですが、音がややストレートすぎた感があり、より練られたサウンド作りが望まれます。マーチ自体は躍動感もあり、歯切れのいい刻みが心地よい世界観を作っていました。ただ、少々アナリーゼ不足の感は否めず、音楽的に細かい整理を施してほしかったところです。自由曲は、全体を通してアンサンブルの精度がすばらしく、楽曲の持つ世界観を的確に表現した好演でした。しかし、タンギングが非常にきれいなサウンドという印象のある演奏力を持つ一方で、音楽が場面場面でブツ切れて行くのが残念でした。音楽をいかに流れを持って紡いでいくか、この辺りは賞の色を棲み分ける境界線のひとつです。 |
7: 九州支部 福岡県代表 福岡市立香椎第三中学校 銀賞 (指揮:井手憲一)初出場
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:大いなる約束の地〜チンギス・ハーン(鈴木英史)元気溌剌とした課題曲のスタートでしたが、全体的に音の処理が粗雑で、終始全ての楽曲のパーツが鳴り合っている感じで、より細かな音楽的整理を施してほしかったところです。旋律と対旋律のバランス等もいまひとつで、おそらくテンポの速さが全ての音楽的な処理を粗くしてしまったのではないでしょうか。自由曲は音像がクリアに見える、個々の演奏力の高さのわかる好演でしたが、トゥッティではやや音の濁りが感じられ、音楽の組み立て自体にも更なるアナリーゼの余地があったようです。また打楽器は叩いてアクセントを付けるのが目的ではなく、音楽に彩りを添える手段だという方法論で臨んでみてはいかがでしょうか。 |
8: 中国支部 山口県代表 防府市立桑山中学校 銀賞 (指揮:中村武司)3年連続10回目
課題曲3:「斎太郎節」の主題による幻想(合田佳代子)
自由曲:喜びの島(C.ドビュッシー/真島俊夫)人数が少ないながら、通りの良いハーモニーでスタートした課題曲でしたが、全体的にピッチがやや不安定で、ユニゾンにもブレが見られました。しかし、旋律の歌い方等は自然で、歯切れのいい和の世界観をうまく表現していたと思います。ただ、管楽器の音量に対して、打楽器がやや強めだったでしょうか。その辺りのバランスは人数が少なくなればなるほど、難しくなって来るのでしょう。自由曲は、その人数の少なさを逆手に取った選曲で、ハーモニーが美しく、発音がクリアな好演でした。ドビュッシーの世界観もよく表現していましたが、やや音楽が平坦だったかなという印象です。しかし、人数が少なくなると個々の奏者の演奏力が問われるわけですが、その辺りは非常に安心して音楽に身を委ねる事が出来ました。 |
10: 東京支部 東京都代表 玉川学園中学部 銀賞 (指揮:土屋和彦)2年ぶり12回目
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:カントゥス・ソナーレ(鈴木英史)非常にクリアなサウンドによる心地よいマーチのスタートでした。6/8のリズムもうまく再現され、メリハリも感じられる好演だったと思います。更にユニゾンの精度が増すと、旋律が浮かび上がる質の高い音楽に到達できるのではないかと思います。しかし、管楽器のバランスや打楽器とのバランスなどは絶妙で、東京都大会からの成長の素晴らしさを感じました。自由曲は、弱奏のハーモニーも美しく、コントラストがハッキリした好演でしたが、後半やや息切れしたのか、サウンドの体力が不足して聞こえて来ました。中間部も更なる色付けが欲しかったところです。しかし、ソロ楽器の響きも流麗で、しっかりとした主張を持った世界観を再現していたと思います。 |
13: 北陸支部 福井県代表 坂井市立三国中学校 銀賞 (指揮:武井晋)初出場
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:ルイ・ブージェワーの賛歌による変奏曲(C.T.スミス)課題曲は適度に前進力を持った、テンポ設定も絶妙な好演でした。北陸のバンドらしく、トランペットを中心とした金管楽器の響きが美しく、管打楽器全体のバランスもしっかりととれていたと思います。そんな中で、所々でややアンサンブルや発音にブレが見られたのが残念でした。しかし、明るくてクリアな前向きのサウンドは心地よく響いてきました。自由曲は技術的な難曲に挑んできました。が、やはり中学生の体力では、特に速い細かなフレーズはアップアップで、それが発音のミスやブレに繋がってしまいました。しかし、コラールの美しさ等、キラリと光る部分をいくつも持ったバンドで、こうしたチャレンジ精神を失わず、演奏する側も聞く側も楽しめる音楽の追求を今後も続けて行ってほしいと思います。 |
6: 四国支部 香川県代表 高松市立屋島中学校 銅賞 (指揮:井上智司)初出場
課題曲2:行進曲「勇気のトビラ」(高橋宏樹)
自由曲:大いなる約束の地〜チンギス・ハーン(鈴木英史)クリアでまとまりのあるサウンドを持っているバンドですが、全体的に音色がストレートでレアな感じを受けました。個々のパートにおいて最も美しい響きを常に追求して行くことも大切だと思われます。また、6/8としてはややケンポ設定も速かった感じで、せわしないマーチになってしまいました。細かいフレーズも埋もれがちでしたが、旋律の歌い方は自然で好感が持てました。自由曲では、その世界観をよく理解した演奏になっていましたが、ややアナリーゼ不足の感は否めず、聞かせ所が焦点ボケになってしまいました。そんな中で、旋律の歌い方や、ハーモニーの作り方は自然で、心地よい流れを作り出していました。 |
11: 東北支部 岩手県代表 盛岡市立北陵中学校 銅賞 (指揮:吉田哲)初出場
課題曲4:コンサートマーチ「青葉の街で」(小林武夫)
自由曲:スペイン奇想曲より(N.リムスキー=コルサコフ/高橋徹)課題曲の冒頭は、非常にストレートでレアなサウンドという印象で、全体のバランスも、低音楽器がやや強めかなという印象でした。マーチの裏打ちもピッチがやや不安定で、全体的に前進力を欠いた音楽になってしまいました。しかし、トランペット等、高音楽器の響きは美しく伸びやかで、そのサウンドを中心に、それぞれの楽器のサウンドをより美しいものに仕上げて行く事が今後の課題ではないでしょうか。奏者の演奏力は高いので、それを生かす聞かせるサウンド作りが望まれます。自由曲は、山王中に続いて東北から懐かしい選曲が届きました。全体的に律儀な音楽を演じているという印象でしたが、アンサンブルがやや雑で、細かいフレーズが浮足立っていたのが残念でした。しかし、SAXセンクションによるカデンツァやフルート、クラ、オーボエのソロ等、キラリと光る部分をいくつも持った、今後が楽しみなバンドです。因みに要らない情報ですが、この学校とはホテルが一緒でした(笑)。 |