東京都大会プログラム/9月7日(日)/普門館
1: 小平市立小平第三中学校吹奏楽部 (指揮 : 中村睦郎) 銀賞
課題曲 1: ウィナーズ─吹奏楽のための行進曲(諏訪雅彦)
自由曲 :
組曲「動物の謝肉祭」より(C.サン・サーンス/後藤洋)無難に滑り出した課題曲だったが、やはり前半のややもすると不安定な和声をう確実に積み上げる作業は難しい。全国各地で苦戦を強いられているこの課題曲だが、終始この不安定さが解消されないまま、課題曲は終了してしまった。あと、特に課題曲でピッチが不安定だったのと、ブラスサウンドが開き気味になっていたのも気にはなった。さて、変わって自由曲は、同じ団体とは思えないほどに、アンサンブルの見事な独自の世界を繰り広げた。課題曲が1で無かったら・・・・なんて考えるのはやめておこう。昨年の全国立つ回金賞団体らしい、卓越した技術の演奏だったのは間違いない。
2: 福生市立福生第二中学校吹奏楽部 (指揮 : 清水宏美) 銅賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
グローバル・ヴァリエーション(N.ヘス)
3: 練馬区立練馬中学校吹奏楽部 (指揮 : 佐藤千佳) 銅賞
課題曲 2: イギリス民謡による行進曲(高橋宏樹)
自由曲 :
元禄(櫛田月失之扶)東京予選会では、銀賞代表となったという情報は得ていたが、他の5団体にわずかな日数で迫る事はやはり不可能だったか・・・・。しかし、ステージに登場した奏者の表情や、指揮の先生の紹介時の笑顔など、普門館の晴れ舞台に立てた事への満足感がいっぱいに広がっていたのが印象的だった。課題曲自由曲を通じて、練習を重ねてきた感じは伝わってきたが、前へ前へ、客席の方へどうサウンドを響かすか、またそれぞれの楽曲が持っているメッセージをどう自分達で消化し、その上でどう聴衆にアピールするか、練習前に分析したり話し合ったりする事がもっともっと多いと思われる。この経験をバネにしてステップアップして行くだろう事を期待したい。
4: 羽村市立羽村第一中学校吹奏楽部 (指揮 : 玉井長武) 金賞東京代表
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より、1. ソロモンの夢 2.戦いの踊り 4.狂宴の踊り(O.レスピーギ)非常に安定感がありながらも、非常に中学生らしいはつらつとした課題曲だった。曲名通りの音楽表現がすばらしかった。ピッチも安定していて、楽しさが伝わってくるマーチ、そんな好演だった。続く自由曲では、ペット隊のパフォーマンスも含めて、ビジュアル的にも色彩感に飛んだ演出で楽しませてくれた。演奏そのものも、奏者達の息がぴったりと合った感じで、楽曲の持つイメージを、的確に再現していた。全国大会でも新鮮な風を巻き起こして欲しい。
5: 玉川学園中等部吹奏楽部 (指揮 : 土屋和彦) 金賞東京代表
課題曲 3: 行進曲「虹色の風」(松尾善雄)
自由曲 :
喜歌劇「小鳥売り」より(C.ツェラー/鈴木英史)部員達がステージに登場する姿は、他の中学校に比べると、ずっと大人びていて、高校生かと思うほどのエレガントな生徒達が集まったバンドだ。鳴り響いてくるサウンドも、他の中学校より一回りも二回りも大人のものだった。昨年も非常にレベルの高い音楽とサウンドを持っていたが、今年はそれに一段と磨きがかかった感じだ。課題曲は、一糸乱れぬアンサンブルが、「マーチ」の雰囲気をもっともよく表していた。自由曲は少々つかみどころのないアレンジというか、構成の曲だが、そんな事をものともしない演奏力と表現力で、聴衆を圧倒していた。全国大会でも、上位をねらえるところまで確実に来ていると思われる。
6: 足立区立伊興中学校吹奏楽部 (指揮 : 宇野浩之) 銀賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
ルーマニア民族舞曲(B.バルトーク/後藤洋)38人という、中学の部では最も人数の少なかったバンドだが、非常にダイナミックなサウンドを持っていて、課題曲では、楽曲が持つすべての細かい要素を、漏れることなく再現していたのに非常に好感が持てた。自由曲も、自分達のサウンドと技量にマッチした選択で、堂々たる音楽を残していった。無理に頭数を揃えるよりも、この規模で、更に緻密にサウンドと音楽を構築して行くのも、ひとつの手だと思われるが、いかがたろう。
1: 東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部 (指揮 : 畠田貴生) 金賞東京代表
課題曲 1: ウィナーズ─吹奏楽のための行進曲(諏訪雅彦)
自由曲 :
バレエ音楽「中国の不思議な役人」より(B.バルトーク/畠田貴生)自信たっぷりのペットソロから始まる課題曲の冒頭から、それまで普門館に漂っていたもやもや感を、すべて吹き飛ばすかのような鮮やかな展開が目を引いた。昨年の全国大会金賞バンドらしく、鬼門と言われる課題曲1番を余裕で操っていたのには、脱帽。サウンドも、その直前に行われた一般の部よりも更に艶を持ち、重量感をも備えたものになっていた。自由曲も、この難曲をあっさりと料理したかのように、普門館いっぱいに、独自の音楽を展開していた。とにかく縦横無尽に音の粒が飛び交う感じだ。まるで全国大会の予行演習を行っているかのような、別格の存在になってしまっていた。このバンドの進化はまだまだ止まらないようだ。
2: 都立片倉高等学校吹奏楽部 (指揮 : 馬場正英) 銀賞
課題曲 1: ウィナーズ─吹奏楽のための行進曲(諏訪雅彦)
自由曲 :
…そしてどこにも山の姿はない (シュワントナー) 課題曲は、高輪台の後に聞くとに、やや固さや緊張感が見られたのが残念。しかし、この難曲を独自の解釈で賞かしていたのは特筆に値する。が、もうひとつ「音楽」として主張するまでにいたっていなかったのが惜しかった。さて、自由曲は、どちらかというと、かなりピアノが目立つ楽曲で、「吹奏音楽」としての評価が分かれがちになるのは、致し方ないことだろう。技術、テクニック、という部分では非常にレベルの高い位置にいるとは思うが、このバンドが音楽を歌い、メッセージを伝える術を修得したら、新たな個性を持ったミラクルバンドになるのではないかと思われる。
3: 東海大学菅生高等学校吹奏楽部 (指揮 : 加島貞夫) 銅賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
トッカータとフーガ ニ短調(J.S.バッハ/加島貞夫)去年は、「噴水」を安定したサウンドと表現豊かな音楽的アプローチで聞かせてくれた菅生が今年選んだのは、懐かしの名曲「トッカータとフーガ」。さて、課題曲の冒頭から、ダイナミックレンジの広いサウンドと卓越した技法が、惜しげもなく展開する。コンクールをよく理解した演奏だ。個々のサウンドが、非常に粒がそろい、適度に固まって客席まで届いてくるのも心地よい。その分、若干、奔放さというか、面白味に欠けるのも事実だが・・・・。自由曲でも、その厚みのあるサウンドは健在だ。ただ、随所で、アレンジ的に首を傾げたくなる部分があったのも事実。サウンドとテクニックは、金賞レベルに達していたが、最終的に作り上げたものに、審査員からクエスチョンマークを付けられたのではないか・・・・と思われる。しかし、この演奏での銅賞は、非常に酷な気がした。
4: 都立杉並高等学校吹奏楽部 (指揮 : 五十嵐清) 銅賞
課題曲 1: ウィナーズ─吹奏楽のための行進曲(諏訪雅彦)
自由曲 :
放射と瞑想 パート2(天野正道)課題曲の冒頭に流れてきたペットのサウンドが非常に穏やかで、流麗で心地よかったのが印象的だった。ただ、ビブラートのかけ具合は、作曲者の意図からは逸脱していたと、思うが・・・・。そしてすべて終わった後も、それしか残っていなかった・・・・というのがこのバンドの大きな問題点のような気がする。チームスポーツでも、スター選手がいても、優勝できるわけではないのと同じように、バンドとしての色、存在感、テクニック、そしてサウンドを、まずは築き上げるのが、急務だと思われる。
5: 駒澤大学高等学校吹奏楽部 (指揮 : 吉野信行) 金賞東京代表
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲:
コンサートバンドとジャズ・アンサンブルの為のラプソディ(P.ウィリアムス)ここ数年、課題曲で波に乗りきれないまま、終わってしまっていた感のあった駒澤。今年もご多分に漏れず、課題曲は「マーチ」の流れに乗りきれないで終わってしまっていた。いつもなら、そのまま尻すぼみしていたのだが、今回は違っていた。4ビートを中心に展開して行く自由曲は、定期演奏会等でもお得意の駒澤的ナンバー。まさに選曲の勝利と言っていいだろう。課題曲の不調が嘘のように、非常にセンスのいい4ビートのドラミング、鮮やかにブレンドし合うサックス、こうなれば、サウンドそのものも、曲が進むに連れてレンジを広げ、ダイナミックなジャズ・ワールドが普門館に広がって行く。ヴァイブのグルーヴ感も、非常に心地よい。この自由曲の完成度は、課題曲の不調を補うに余るものがあったと言っていいだろう。自由曲後半のブラスサウンドのきらびやかは、今大会随一だった。全国大会ではもっともっとはじけてもいいのではという気もするが、その前に、今一度課題曲を見直してもらいたい。特に、付点音符の後の16分音符の処理が、甘い。自由曲があのレベルまで持っていけるバンドなので、その修正は容易なはず。久々の全国大会出場、おめでとう!!
6: 八王子高等学校吹奏楽部 (指揮 : 高瀬新一郎) 銀賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
アルプス交響曲(R.シュトラウス/八田泰一)非常に卓越したサウンドで、去年は東京代表になったこのバンドだが、音楽を集団が演じる時に大切な縦の線が、少々揃わない・・・・のがこのバンドの弱点。今年はそれが如実に出てしまったようだ。特に課題曲がマーチの時は、致命傷になってしまう。サウンドそのものや音楽的な展開は、実に卓越したものを持っているので、なおさら勿体ない。また来年に期待!!
その他の金賞受賞団体/早稲田大学系属早稲田実業・都立日野台・十文字・都立小山台・藤村女子・東京家政学院・桜美林・駒場東邦高等学校・江戸川女子・青山学院高等部・潤徳女子・吉祥女子・明治大学付属中野八王子・都立南平・都立保谷・京華学園・明治大学附属明治高・錦城・創価
銀賞受賞団体/日本大学第ニ・都立足立・都立八王子東・白梅学園・富士見丘・川村・都立文京・都立板橋・女子聖学院・東京・八雲学園・共立女子第二・都立町田・都立永山・都立国立・都立江北・都立北多摩・國學院大學久我山・都立国際・成蹊・帝京八王子・都立竹台・共立女子・堀越・日本大学豊山・正則・鴎友学園女子・早稲田大学高等学院・都立南多摩

銅賞受賞団体/都立神代・都立清瀬・都立久留米西・都立竹早・都立府中西・都立成瀬・都立田無・都立晴海総合・都立小平・都立日野・和洋九段女子・都立山崎・千代田女学園・都立大泉・学習院高等科・成城/東京純心女子高等学校・都立井草・都立三鷹・都立豊多摩・青稜・都立深川・中央大学杉並

辞退/東京女子

1: 立正大学吹奏楽部 (指揮 : 佐藤正人) 銀賞
課題曲 1: ウィナーズ─吹奏楽のための行進曲(諏訪雅彦)
自由曲 :
「ロデオ」より カウボーイの休日(A.コープランド)課題曲冒頭の和声が不安定に聞こえるのは、この楽曲ならではだが、その不安定さを中盤まで引きずったのが、曲全体の印象となってしまったのが残念だった。ハーモニーの持続性、連続性が欠如していたためだろうと思われる。しかし、個々の楽器はよく発音されているだけに、そのブレンド感がいまひとつだったのが惜しまれる。自由曲は、このバンドのサウンドによく合った選曲だったが、細かいタンギングがいまひとつ揃わず、コープランドらしさを最後まで演出出来なかったのが残念。音楽的な構成力や表現力はかなりのレベルまで来ていると思うが、いまひとつ金賞に手が届かなかったのは、そういう部分だったのではないかと思われる。
2: 中央大学吹奏楽部 (指揮 : 小塚類) 金賞東京代表
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/築地隆)課題曲は大学の部を通じて最も作曲者の意図を的確に表現した演奏だったと思う。またこの課題曲のイントロを構成する3つの要素が、すべてはっきり聞こえてきたのも、ここだけだったと思う。今年は各大学ともに、音楽的な掘り下げが深いところまで行っていなかったが、その中でも、最も「音楽」を感じさせる演奏だった。自由曲は、この指揮者も特異とする分野の音楽だったが、午前中に高輪台高校が圧倒的な解釈による名演を残していたためか、バルトークを演奏するのに必要なサウンドのエッジが、若干不足しているように感じたが・・・・。冒頭も、各楽器がそれぞれやりたい放題吹き、叩いている感じで、全体的な統一感に欠けていたのが残念だった。しかし、後半に行くに従って、バルトークらしさがじょじょに出てきたのも事実で、課題曲から自由曲への気持ちの切り替えの問題なのかも知れない。
3: 創価大学パイオニア吹奏楽部 (指揮 : 磯貝富治男) 金賞東京代表
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 夜明け、全員の踊り(M.ラヴェル/佐藤正人)指揮者が交代して1年目の出場という事になったが、奏者達の音楽的な気持ちの切り替えは非常にスムースに出来たようだ。課題曲は、音楽的な表現こそ平凡だったが、よく訓練されたテクニックに、指揮者が持つ躍動感が見事にブレンドして、まったく危なげなく聞くことが出来た。自由曲も、半ば聞き飽きた感のある楽曲だが、奏者たちのテクニックのレベルの高さを見せつけられる演奏だった。ある意味圧巻ではあったが、M.ラヴェルがこの楽曲に託したかった何かが、今回の演奏では伝わって来なかったのが残念。終了部も、これでもかという感じで畳みかけながら終わるが、卓越した技術力と演奏力があるだけに、そこに情念を吹き込んで欲しいと思う。
4: 東海大学吹奏楽部 (指揮 : 定岡利典) 銀賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
春に、王たちが戦いに出るに及んで…(D.R.ホルジンガー)冒頭から非常に模範的な、ある意味課題曲としては非常にクオリティの高い演奏を聞かせてくれた。ただ、その分、表情に乏しい音楽になってしまったのも事実。技術的な完成度が高いだけに、音楽的な表現の工夫がもっともっと欲しかった気がする。自由曲は、このバンドに合った選曲で、自信たっぷりに演奏していたのが、心地よかった。サウンドも課題曲以上に絞まりが出ていて、快演だったと思う。ここ数年の中でも、かなりレベルを上げてきたな、という印象を持った。が、そろそろ、「今後が楽しみだ」的な音楽からの脱皮を図ってもらいたい気がするのだが・・・・。
5: 玉川大学吹奏楽部 (指揮 : 田中旭) 銅賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
ハリソンの夢(P.グレーアム)課題曲冒頭から、サウンドにおける各楽器のバランスの悪さが目だった。課題曲がマーチの場合、このイントロの演出が、かなり大きな要素となってくるので、基礎が出来ているバンドなだけに勿体ない。トリオでは低音楽器がやや出過ぎなのと、表情に乏しいのが惜しまれる。が、総じてよくまとめていたと思う。自由曲は、今年はやりの楽曲だが、課題曲にも増して、この曲はバランスの取り方が難しい曲で、楽曲の輪郭を明確に演出出来ない演奏だった。ザッツがやや乱れがちなのも、惜しい。しかし、音楽的な整理、処理、演出をもう一度見直せば、更に一段階上の演奏が出来るバンドだと思う。
6: 明治大学吹奏楽部 (指揮 : 伊吹範之) 銅賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
狂詩曲「サウンド・バリアー」(M.アーノルド/M.エレビー)サウンドに明瞭感がなく、全体的にもやもやしていたのは、バランスだけの問題だろうか・・・・といろいろ考えたが、全体的に漂うピッチの不安定さも、その要因のひとつになっているのかも知れない。また楽曲の場面場面で、サポート担当の楽器、旋律を担当する楽器、そこに絶妙に絡んで行く楽器・・・・そうした整理がなされていないために、終始、音楽が一塊になって、聞こえていたようだ。もう一点、楽譜に書いてある音符をもともっと正確に演奏する訓練をしないと、特にマーチが課題曲の年は他の団体との差が明確に出てしまう。音楽をやる事の楽しさを大切にしながら、今一度、基礎の更なる確立を目指してもらいたい。
1: 東芝府中吹奏楽団 (指揮 : 村上圭吾) 863 銀賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
交響詩「ローマの祭り」より(O.レスピーギ)ここ2年ほど、定期演奏会も聞かせてもらっているが、いつも思うのだけど、定期演奏会の時に仕上がりの方が圧倒的にいいバンドだ。もちろん糊塗しの自由曲は、定演時は客演指揮だったので、単純比較は出来ないが、非常に心地よく耳辺りのいい、それでいて重量感のあるサウンドを持っているだけに、惜しい。自由曲のローマの祭りは、コンクールでは点の出やすい楽曲ではあるが、後半、ザッツやアンサンブルの乱れが、随所に見られたのには少々閉口した。あと、指揮者が、ひざを曲げて客席に足の裏を見せる癖があるようだが、これは、直し他方がいいかも知れない・・・・。職場らの部はいろいろと問題も抱えていると思うが、全体的なレベルが年々上がっていく昨今、更なる奮起を願いたいものである。
2: ソニー吹奏楽団 (指揮 : 川本統修) 863 金賞東京代表
課題曲 3: 行進曲「虹色の風」(松尾善雄)
自由曲 :
「天地創造」よりノアの方舟、メインテーマ(黛敏郎)課題曲冒頭から、非常に芯のある揺るぎないサウンドが耳に飛び込んで来て、驚くと同時に、瞬間湯沸かし的に音楽にサウンドに引き込まれていってしまった。予選では、ここまでの仕上がりだとは感じなかったような印象があったが、演奏が進んで行くにしたがって、東京代表を争う存在になっているのが確認出来る演奏だった。自由曲は、吹奏楽ファンにとっては懐かしい楽曲だが、堂々たる解釈と演奏で、派手さはないものの、確実に音楽を残す、そんな演奏だった。全国大会は強豪も多いが、「らしい演奏」で、旋風を巻き起こしてもらいたいものだ。
3: NTT東日本東京吹奏楽団 (指揮 : 山田昌弘) 880 銀賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
放射と瞑想パート1、2(天野正道)定期演奏会を聞きに行った時は、今年は少々不調なのではないか・・・と感じたが、真夏の東京予選では、そんな思いを見事に覆す演奏を聞かせてくれた。そして本選。昨年の代表団体らしい、ダイナミックレンジの広いサウンドで、課題曲自由曲を無難に演奏していたが、ソニーが醸し出していた、音楽の統一感みたいなものまでは、演出出来なかったのではないかと思われる。客観的に聞いた感じでは、ソニーとはほとんど差のない演奏だった。それにしても、去年までは、ひとつの突出した団体が、毎年入れ替わる・・・・と言った印象が強かった職場の部、非常に聞きごたえのある部門になって来たのは、頼もしいことだ。
4: 日立ソフトエンジニアリング 音楽隊(指揮 : 境野達男) 833 銅賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
ポンテ・ロマーノ(ヤン・ヴァン・デル・ロースト)
5: 東京ガス吹奏楽団 (指揮 : 島藤 寛) 823 銅賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 : 喜歌劇
「詩人と農夫」序曲(スッペ)
東京都予選銀賞受賞団体郵政中央吹奏楽団 789
1: 東京正人吹奏楽団 (指揮 : 鈴木正人) 876 銀賞
課題曲 5 : マーチ「列車で行こう」(川村昌樹)
自由曲 :
日本組曲(伊福部昭)一般の部で唯一課題曲5を演奏した東京正人。参考演奏CDではなんとなく印象がぼやけていたこの曲だが、このバンドの演奏を聞いて、初めてこの曲の醍醐味を知らされたような感じだった。この曲に果敢に挑戦した姿勢と、この課題曲の完成度の高さに拍手を送りたい。天国の川村氏(作曲者)も、さぞやほくそ笑んでいることだろう。さて自由曲は昨年に続いて、ゴジラの伊福部の楽曲。今回も、パーカッション隊が大活躍。課題曲でもそうだったが、このバンドの核のひとつをパーカッション・チームが支えているのは間違いない。グロリアを除く、他の東京の一般バンドが、分裂等を繰り返して少しずつそのパワーを衰えさせて行く中、着実に力を重ねて行っている感じがして、このバンドは非常に頼もしい。指揮の鈴木氏の表情も、年を追うごとに引き締まってきた気も・・・・髪型のせい??さて、都大会。いきなりトップバッターで課題曲5というのは、衝撃的だった。が、予選の時の方が、音楽に活気があったように感じたのは気のせいだろうか・・・・。自由曲は、独自の世界を作り出そうという気持ちはわかるが、更に一歩も二歩も突き抜けるためには、今のイメージからの脱皮ではないかと思われるのだが、どうだろうか・・・・。
2: 足立吹奏楽団 (指揮 : 増田和典) 822 銀賞
課題曲 3: 行進曲「虹色の風」(松尾善雄)
自由曲 :
悪魔の踊り(J.ヘルメスベルガー)薄氷を踏んでいるかのようなマーチだった。前を進むというよりは、石橋を何度も何度も叩いて渡るかのようなテンポ設定。「虹色」というからには、もっともっと元気で溌剌とした明るさがあってもいいのではないかと思われた。自由曲では、サウンド自体は地味ながらも、よく訓練された地道なアンサンブルが功を奏していた。ただ、もうひとつ「主張」みたいなものが感じられなかったのが残念。
3: 創価グロリア吹奏楽団 (指揮 : 佐川聖二) 900 金賞東京代表
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コムール・カレイドスコープ(天野正道)予選会にして、歴史的な名演が生まれた。一般の部は往々にして人数が多く、ほとんどの団体はその人数なりのサウンドが鳴り渡っているのだが、このグロリアの今年の予選会の演奏は、目を閉じると、4〜5人で演奏しているかのように、音楽が耳に届いてくる。そういう音楽が生み出されるためには、寸分もたがわず奏者達の息が合っていないと出来ない代物だ。この日のグロリアの演奏は、課題曲自由曲を通じて、まさに神業に近い正確さと、豊かな色彩感で、天野正道氏の新たなサウンドの世界を実に優雅に作り上げた。そう、天野氏のオーケストレーションも実に絶妙かつ巧妙で、吹奏楽という概念が、自分の中で塗り替えられたような気さえした。次の都大会でここまで完ぺきな空間を再び演出することが出来るかどうかはわからないが、よほどのアクシデントが無い限り、グロリアの優位は揺るがないだろう。この瞬間に立ち会えたことを光栄に思う。それにしても、このプログラム順で900点という事は、満点って事だよね。予選に引き続いて、まったく危なげのない都大会通過の儀式だった。サウンド的にも音楽的にも「もういいだろう」という段階まで築きあげられた今、このバンドはどういう方向に向かって行くのだろうか。ただ、個性という個性は感じられないが唯一の穴かも知れないが、捉えようによっては、それがこのバンドの個性であるのかも知れない。全国大会でも、王者の演奏で、東京代表の貫禄を見せつけてもらいたいものだ。
4: 武蔵村山ウィンドアンサンブル (指揮 : 新藤 潤) 831銅賞
課題曲 2: イギリス民謡による行進曲(高橋宏樹)
自由曲 :
交響組曲第三番「GR」より(天野正道)予選では感じられなかったが、こういう大きな会場に移ると、やはり、サウンドの地味さが、音楽の幅を狭めてしまっている。課題曲2は、もっともっと大人のグリーンスリーブスを聞かせて欲しかったし、全国各地でさまざまな解釈がなされ尽くした感のある自由曲に、新たな方向性を吹き込むことに成功していたわけでも無かった。非常に耳辺りのいいサウンドを持っているだけに、何かもっと大きな音楽的な要素を持たないと、なんとなく音楽が流れていった・・・・で終わってしまうのも事実。その辺の追及を今後望みたいバンドである。
5: 豊島区吹奏楽団 (指揮 : 西村 友) 841銀賞
課題曲 1: ウィナーズ─吹奏楽のための行進曲(諏訪雅彦)
自由曲 :
交響的舞曲作品45より第三楽章(S.ラフマニノフ)予選では、「マーチ」としての持続感がまったく感じられなかったこのバンドの課題曲1だったが、ところどころで修正はされているものの、完成型にまでは至らなかったのが残念。かつては強烈な個性で、全国にその名を轟かせたこのバンドだが、ここ数年は、団員がきているブレザーの色の方が個性が目立っている・・・・と思われるぐらい、没個性バンドになってしまっているのが残念。サウンドそのものには、ときどきハッとさせられる響きがあるのも事実だが、自由曲の選曲がこのバンドに合っていないのも影響しているのかも知れない。一般の部の標準的な存在としてその安定した位置に居すわるのも楽なのかも知れないが、それだけでは満足出来ないと思っているのは、当の団員たちであろう・・・・と思いたい。
6: Harmony of the Winds (指揮 : 近藤久敦) 823 銅賞
課題曲 4: マーチ「ベスト・フレンド」(松浦伸吾)
自由曲 :
スラブ舞曲作品集72より第一番、第二番、第七番(A.ドヴォルザーク)聞くところによると、このバンドは、板橋区吹奏楽団から分かれて出来た新しいバンドらしい。指揮者はリベルテや名取等で有名な近藤氏。彼の作り出す音楽は、個人的には非常に共感を覚える部分が多い。今回の課題曲はまさにそんな感じだった。課題曲4番の最後の再現部では、普通のグランド・マーチ風にするか、或いは、サーカス団風にするか、2つに解釈は大まかに分かれる。グロリアはグランド・マーチで攻めていたが、こちらはサーカス団風な演出になっていた。一番わかりやすいのは、4小節目と8小節目のパーカッションの処理。ここでグッとパーカッションを全面に出すのは後者の表現方法。これを演出していたのは、一般の部ではおそらくこの団体だけだった。ただ、イントロや後半はいいにしても、主題提示部やトリオで、バス系がボンボン鳴り響くのはいただけない。旋律をかき消さないようにお願いしたい。さて、自由曲は前半こそ適度の鳴りでダイナミックに音楽を表現していたものの、後半はアンサンブルのミスも目立ち、都大会に向けてのよりいっそうの精進が望まれる。しかし、経験者が豊富とはいえ、初の挑戦で予選突破はお見事!!さて、初の都大会。課題曲は、冒頭からマーチ感が非常によく出ていたが、テンポ設定がやや速すぎるのが気にはなった。そのせいか、細かいパッセージがところどころで、こもったり、オブリガートに旋律が消されたりと、バランスを崩してしまったのが惜しかった。音楽的解釈が気に入っていただけに残念だった。しかし、予選で気になったマーチにおけるベースラインのバランスはしっかりと克服されていたようだ。さて自由曲は、予選での問題点が解決されずに終わってしまった感がある。このバンドにこの曲が合っているのかどうか・・・・という根本的な部分も疑問のひとつとして挙げられるが、楽曲前半の完成度に対して、後半息切れしてしまったのが勿体ない。サウンドとしての素質、経験のある指揮者を備えているだけに今後に期待したい。ただ、銅賞というのは、少々ハテナマークではあったが・・・・。
東京都予選その他の金賞団体ミュゼ・ダール吹奏楽団 820/東京大学ブラスアカデミー 818/アンサンブル・ヴィルトゥオーソ吹奏楽団 815/バーチュリーバ・ソサエティ 815/葛飾吹奏楽団 814/セラヴィ・ウインド・アンサンブル 800個人的に、代表団体も含めて、最も感銘を受けたのは、ミュゼ・ダール吹奏楽団。非常にエッジの効いたサウンドで、課題曲自由曲ともに、楽曲の持つメッセージ性を的確に表現した演奏だったと思う。代表になれなかった瞬間は少々拍子抜けしたが、是非来年は、この雪辱を果たして欲しいところ。個人的にこのバンドには注目して行きたい。
東京都予選銀賞受賞団体/早稲田吹奏楽団 790/板橋区吹奏楽団 788/あきる野市吹奏楽団 787/リバティウィンドオーケストラ 786/ル・ノワール・ウインドオーケストラ 781/SAY NO YES YES吹奏楽チーム 779/新八王子ウインドオーケストラ 773/府中市青少年吹奏楽団 772/プリモアンサンブル東京 763/Soul Sonority 763/学習院ウインドアンサンブル 756/東京ウインドハーモニーオーケストラ 750/東綾瀬ウインドオーケストラ 750/三鷹市吹奏楽団 749/ホワイトクラウズウインドアンサンブル 748/
東京都予選銅賞受賞団体/文京ウインドオーケストラ 736/伊興ウインドオーケストラ 725/大塚ウインドアンサンブル 718/ARTHUR SYMPHONIC WINDS TOKYO 701/コンセール・リベルテ・オルケストル・ドウアルモニー 681/立川RED & BLUEウインドアンサンブル 678/多摩ウインドフィルハーモニーオーケストラ 670/