東京都大会プログラム/9月23日(祝)/普門館
1: 中央区立日本橋中学校吹奏楽部 (指揮 : 豊田千絵)  銀賞
課題曲 4: 鳥たちの神話(藤井 修)
自由曲 :
管弦楽組曲「第六の幸運をもたらす宿」より(M.アーノルド/瀬尾宗利)
2: 板橋区立志村第一中学校吹奏楽部 (指揮 : 小倉和彦)  銅賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
歌劇「いやいやながらの王様」より、スラブの踊り(E.シャブリエ)
3: 足立区立第十一中学校吹奏楽部 (指揮 : 宇野浩之)  銀賞
課題曲 3: 祈りの旅(北爪道夫)
自由曲 :
「アメリカの騎士」より、選ばれし者(S.メリロ)課題曲の冒頭は、楽器が暖まりきっていないのか、ピッチが不安定なのが目だった。特にこの課題曲は、ちょっとしたピッチの不揃いも目だってしまうので、惜しかったと思う。しかし、曲が進むにつれて、輪郭が明りょうな音楽になって行き、本来の地からを取り戻したようだ。また、木管の安定具合に比べて、金管系がやや不安定なので、その辺の強化が今後の課題だろう。また、各楽器のバランスをもって丁寧に配慮して欲しい。自由曲になるとさらに安定度は増して、パーカッションの16ビートの刻みも性格で、エレキベースも心地良く響いてきた。願わくば、ここでも、さらに突っ込んだバランスを取るべく努力して欲しかった。とにかく潜在能力は非常に高いバンドなので、的確な導きでもって、一皮も二皮もむけた音楽を演じられるようになって欲しい。その可能性に、かなり近いバンドだと思う。
4: 小平市立第三中学校吹奏楽部 (指揮 : 中村睦郎)  金賞東京代表
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
青い地平線(F.チェザリーニ)課題曲の冒頭から、管楽器と打楽器のバランスが非常に悪いのが気になった。管楽器のフレーズを消してしまうような打楽器のがんばりは必要ない。管楽器群は、旋律もバッキングも非常に的確に再現しているわけで、そこにリズムを刻んで行くのが、打楽器の役目。そういう基本的な事を、もう一度見つめなおすと、より音楽に幅が出てくる事だろう。自由曲になっても、ティンパニーを中心に打楽器の音量過多は目だったが、確かな技術力と、音楽の再現力がそれを上回った感じだった。サイド細かい部分のバランスの取り方、そして音楽としての表現の仕方の見直しを、指導者には、全国大会までに図ってもらいたいと思う。しかし、生徒個々の演奏技術力の高さは、あっぱれである。
5: 八王子市立由井中学校吹奏楽部 (指揮 : 田中秀幸)  銅賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
管弦楽の為のジョージ・バーナード・ショウ的素描より「メジャー・バーバラ」(W.ウォルトン/瀬尾宗利)
6: 羽村市立羽村第一中学校吹奏楽部 (指揮 : 玉井長武)  金賞東京代表
課題曲 4: 鳥たちの神話(藤井 修)
自由曲 :
翠風の光(長生淳)前年の全国大会金賞受賞校。去年は、少し緊張感を持った登場という感じがしたが、今年はなんともはや堂々とした登場ぶりで、課題曲から安心して音楽に入り込んで行く事が出来た。このバンドは、ブラス系の響きとアンサンブルが非常に美しいが、そういう意味でぴったりの課題曲の選択だろう。冒頭から、この楽曲の持つ雰囲気をしっかりと打ち出していたのは立派。一方で、木管群も、非常に重厚で艶やかな響きを持っていて、そのバランスの良さは、東京の中学校の中では、他を圧倒する存在だと言っていいだろう。ただ、細かい発音ミスがときおり見られたりするのが惜しい。自由曲は、この難曲をいともさらりと再現している感じで、聞きごたえのある演奏ではあったが、まだまだ音楽的に追及し、整理する余地があるものと思われる。全国大会ではその辺がどこまでさらに進歩するのか、楽しみにしていたい。
1: 東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部 (指揮 : 畠田貴生)  銀賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
ハリソンの夢(P.グラハム)2年連続全国大会金賞バンドというだけあって、すべてにおいて落ち着いた態度と演奏からスタート。課題曲は、全体的にはよく出来ているが、和太鼓のサウンドのバランス感が非常に気になった。ひとつは音色。バチの選択ミスではないかと思われるほど、抜けの悪い音で、それであるが故に、パワーを込めて打ちおろしているわけだが、それが管楽器の音楽と連動していなかった。そのために、時には癇に触るようなサウンドになってしまっていたのは惜しまれる。そうしたバランスの悪さが、連鎖反応も手伝って、課題曲全体を不鮮明な音楽にしてしまっていた。自由曲は、全体的なバランスもよく取れていて、持っているテクニックをふんだんに余すところなく聞かせる好演だった。代表は逸したが、レベルの高い演奏だったのは間違いない。
2: 東海大学菅生高等学校吹奏楽部 (指揮 : 加島貞夫)  銀賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
交響曲第2番「キリストの受難」(フェルレル・フェルラン)課題曲は全体的にまったりとしていて、絞まりがなかったのが残念。例年はもっとメリハリの利いた音楽を演じていたと思うが、いったいどうしてしまったのだろう。自由曲も、音楽をしっかりと分析していた演奏だったが、やはり、ここでもサウンドの締まりの無さが、音楽全体を、緊張感の無いものにしてしまっていたのが惜しまれる。サウンドの安定感も非常にあるし、技術的な潜在能力も充分あるバンドなだけに、更なる奮起を期待したい。
3: 都立片倉高等学校吹奏楽部 (指揮 : 馬場正英)  銅賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
シャカタ〜歌によって世界は生まれた(D.ウィルソン)いつも思うが、ひとりひとりの技術の鍛錬と努力が非常に良く伝わってくる演奏だ。が、それぞれの魅力あるサウンドや技術が、なぜかひとつにまとまらない。ブレンドという以前に、テンポ感や拍の刻みなど、それぞれが自由に簡易時演奏しているという印象を受けてしまう。これは特に課題曲において、顕著に感じられた現象だ。自由曲と違って、課題曲はバリエーションはあるとは言っても、好き嫌いを超越して選択しなければならない。そういうものにも愛情を持って接しなければならないのも、コンクールなわけである。自由曲になると、好みで選んだ強味というか、全体が非常にまとまって締まった音楽になって行った。しかし、後半の打楽器と喚声と管楽器の戦争であるかのようなバトルには少々うんざりさせられた。場面場面での音の整理の方法があったのではないかと思われる。また、以前にも述べたと思うが、こういう楽曲が、コンクールという場で、充分に吹奏楽としての音楽を評価されうるかどうかという事も、指導者は考えなければならないだろう。もちろん、そういう事を超越して我が道を行くというのも、それはそれでひとつのスタイルであるという事は否定しないが・・・・。ま、そこまでは、余計なお世話か・・・・。
4: 八王子高等学校吹奏楽部 (指揮 : 高瀬新一郎)  銅賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
交響詩「アルプスの詩」(F.チェザリーニ)このバンドは、個性が感じられないのを個性とするバンドと言っていいかも知れない。個々の技術も高く、サウンドも非常に安定しているが、演奏的に突出したものを感じさせるでもなく、音楽的に奇抜なものを再現するわけでもなく、参考演奏のテープを聞いているかのような音楽を展開する。それだけに、予選では、点数的に取りこぼしが少なく、本線に駒を進めるものの、じゃ代表に手が届くかというと、そうした目に見えない加点要素があまり無いというのが、ジェットコースターのように、いろんな賞を行き来する原因になっているのではないかと思う。
5: 駒澤大学高等学校吹奏楽部 (指揮 : 吉野信行)  金賞東京代表
課題曲 3: 祈りの旅(北爪道夫)
自由曲 :
交響詩「ローマの祭」より、チルチェンセス、主顕祭(O. レスピーギ/仲田守)今年の高校予選は、この団体だけ、聞きに行った。家から車をとばすと、30分弱で着くのでね。さて、午後一番のプログラムという事でセッテングは万全。課題曲は、冒頭の木管のサウンドの薄さが若干気にはなるものの、後半に行くに従って、きっちりと音が積み重なっている感じが心地よい。が、低音金管系のサウンドが、バリバリと破裂音を出すのが、気になった。これは、自由曲も同じで、低音金管系の爆裂音が、全体のバランスを崩していたのが非常に気になった。しかし、全体としては、よくまとまった、非常に勢いのある「祭り」で、予選にあっては、貫禄十分だったと言っていいだろう。さて、東京都大会。ここまで、4団体を聞いてきて、やはり高校の部のレベルの高さは凄まじい。ちょっとしたバランスの破綻やミスも、これだけハイレベルな段階に来ると、致命的になってしまう事もある。という事もあってか、幾分緊張した感じの登場という感じはした課題曲は冒頭、やや木管のサウンドに迷いが感じられたが、曲が進むと共に、いとも簡単にその不安感は解消された感じだった。課題曲後半のたたみかけるような音楽の展開は、圧巻で、ややもすると地味な印象のぬぐえないこの課題曲の存在感を見事にアピールする演奏だった。このバンドが素晴らしいのは、個々の奏者が、どこで自分を出し、どこでサポートにまわるかという事を充分に心得ている事だろう。特に、パーカッションのプレイヤー達のバランス感覚は素晴らしい。そのバランス感がバンドのサウンド全体をより洗練されたものに昇華させているわけだ。そして自由曲。冒頭のファンファーレは、やや乱れを生じる部分もあったが、それはご愛嬌程度のもので、場面展開の激しい楽曲を、曲に負ける事なく、逆に制覇するような勢いさえ感じる展開で、オーディエンスを完全に凌駕していた。予選の時に気になった低音金管系の破裂音も、今回は見事に影を潜め、サウンドもより流麗さを増した感じだった。後半の木管のタンギングもお見事。祭りのクライマックスはもう独壇場状態で、王者の帰還とも言うべき名演の集結となった。ブラボー。

6: 都立杉並高等学校吹奏楽部 (指揮 : 五十嵐清)  金賞東京代表
課題曲 3: 祈りの旅(北爪道夫)
自由曲 :
「おほなゐ」〜1995.1.17 阪神淡路大震災へのオマージュ(天野正道) 課題曲のスタートと同時に、木管のサウンドが非常にまろやかで、奥行きのある、今年の高校の部の中でも、異質なサウンドに驚いた。しかし、そのサウンドは特にこの課題曲との相性がばっちりで、ひとつ前の駒澤と同じ曲でありながら、全く異なる世界観を作っていたのに非常に惹かれた。ただ、特に金管が入ってくると、サウンドに締まりがなくなるというか、パワーで押している感が出てくるのも確かで、いかに今後ブレンド感を演出して行くかが、課題となるだろう。自由曲も、そうしたサウンドにマッチした選曲で、天野サウンドの新たな一面を見せてくれた感じがする。また非常に拡がり感も持っているためか、あの広いホール全体にまんべんなく音が飛んで行った事は想像に固くない。高校の部を通じて聞いていると、ほとんどの団体が、画一的なサウンドなのに比べて、この学校のサウンドは、いい意味でスクールバンドの理想的典型のような気もする。しかしこれは、操られるのではなく、ひとつひとつの音を丁寧に丹念に積み重ねていかなければ、出来ないサウンドで、高度な自主性も無ければ出来ないサウンドだ。近年こうしたサウンドよりも、西関東系のサウンドの方が重視されがちだったが、こうしたバンドが評価されるのは、いい事だと思う。いろんな個性を持ったバンドの饗宴が、本当の意味で楽しめる全国大会なのだから。

 こうして、高校の部全体を聞いてくると、明確に数で賞を分けなければならないという不条理さを痛感する。明らかに演奏力や音楽力に差があった数年前ならいざしらず、今年のような内容になると、普通の地区大会なら、全団体金賞で、代表がどことどこというレベルの高さだ。何も知らない人に「どうだった?」って聞かれて、「銅賞だった」というのと「金賞だったけど、代表には届かなかった」というのでは大きな差があるのである。明確な賞分けというのは、どうも連盟の側の便宜上のような気がして、昨今のプロ野球機構と重なる感じがしてしまう。世の中の無かれに後手後手にまわるのでなく、先手先手で演奏したすべての人々がステージ上でも表彰式でも満足感を得られるような運営を望みたいものだ。今年の高校の部の東京都大会に出演したバンドすべてに、金賞に値する拍手を送りたいと思う。普門館の聴衆全員が、すべての団体に金賞の拍手を送ったはずだ。

1: 日本大学吹奏楽研究会 (指揮 : 石井孝明)  銅賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
セレモニアル(F.フェルラン)課題曲では、16分音符の刻みが甘く、ころびそうになってしまうのが非常に 気になった。サウンドそのものは安定感を持っているので、こうした演奏能力の部分のスキルアップを願いたいものだ。自由曲も、サウンドの安定感に反比例するように、音楽が落ち着かない。ひとつひとつの音が、流れてしまわないように、存在感をもって再現して欲しいと思う。それにしても、かなり久々となる都大会出場だそうで、晴れ舞台を思う存分楽しんでもらいたい。
2: 玉川大学吹奏楽団 (指揮 : 田中旭)  銅賞
課題曲 3: 祈りの旅(北爪道夫)
自由曲 :
ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス(D.R.ギリングハム)
3: 立正大学吹奏楽部 (指揮 : 佐藤正人)  銀賞
課題曲 4: 鳥たちの神話(藤井 修)
自由曲 :
交響組曲「GR」より(天野正道)課題曲、自由曲を通じて、全体的に細かいミスが多かったのが気になった。あと、サウンドそのものは安定感があっていいんだけど、いまひとつ不鮮明な感じで、音楽が曖昧な形になってしまっていたのが残念だった。ツメの甘さ・・・・なのだろうか。課題曲の出だしを聞いて、予選よりも格段に成長しているのが手にとるように解った。乱れがちだったアンサンブルも安定し、サウンドもより重厚なものになっていた。しかし、本線までにやっとその域に持ってきた感じで、そこから音楽的にどうするか・・・・という部分まで手が回り切らなかったのが残念だった。出来れば、予選の段階でここまで持ってきていれば、残りの時間を最後の仕上げに持っていけただろう。しかし、今後の可能性を充分にアピールする演奏だったのは間違いない。
4: 駒澤大学吹奏楽部 (指揮 : 上埜 孝)  金賞東京代表
課題曲 3: 祈りの旅(田嶋 勉)

自由曲:
組曲「惑星」より木星(G.ホルスト/建部知弘)3出休明けでの登場。課題曲はスタートと共に、木管アンサンブルながらも非常に重厚で、ミュートラは、和楽器の笙のような響きを再現していて、これまでに多くの課題曲3を聞いていたが、全く異質の音楽に仕上げていたのに驚嘆を覚えた。若干のザッツのずれもアンサンブルの乱れはあるものの、非常に完成度の高い課題曲であった。さて自由曲は、駒澤の「惑星」という事で、エネルギッシュなものを想像していたせいか、安全運転気味のオープニングに少々拍子抜けしてしまった感はあった。が個々の演奏能力の高さは抜群で、全く危なげない演奏ではあった。中間部のイギリス民謡の部分も、これまでに聞いた吹奏楽の「木星」のなかでは、最も中域の安定したバラードに仕上げられていたと思う。しかし副題に「快楽の神」とあるように、流麗な旋律を餅ながらも、はじけとぶようなエネルギーが必要な楽曲でもあるはず。なんとなく淡々と練習曲を演奏しているように受け取ったのは、私だけだろうか・・・・。都大会でがつんとはじけてくれるのを期待しよう。それにしても、これだけ音圧があるのに、全然うるさくないというのは、驚異である。予選の段階で、すでに完成度の高い音楽を聞かせてくれた駒澤だけに、課題曲の冒頭から、余裕のある演奏が展開された。演奏や音楽的な感想は、予選の時に書いた通り。それにしても、どんな会場でも、全く動じることなく、自分達の音楽を披露出来るのはさすがだ。とにかくこのバンドが素晴らしいのは、でき上がった音楽を聞いていると、す〜っとその世界に引き込まれてしまうような、いとも簡単に音楽を作り上げているかのように聞こえてくるのに、よ〜く耳をすますと、ひとつひとつの音が細かく的確に発音されていて、その域まで達するのに大きな努力と、緻密なバランスの積み重ねが存在している事である。「音楽が好きなんです、ほんと努力したんです」という事が手にとるようにわかる演奏もそれはそれで素晴らしいが、「でき上がった音楽をどうぞ楽しんでください。苦しい練習や努力はどうでもいいんです」というオーディエンスありきの音楽が出来る、こういうバンドは、やはり粋で素敵だなあと思ってしまうのである。
5: 中央大学学友会文化連盟音楽研究会吹奏楽部 (指揮 : 小塚 類)  金賞東京代表
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
交響曲第一番ニ短調作品13より第四楽章(S.ラフマニノフ/築地 隆)指揮者のビジュアル的な躍動感そのままに、かつての中央大学のイメージとはまた違った魅力を、今このバンドは持っている。それは、東京都大会を通しても、このバンドだけが持つ個性のひとつだろう。課題曲は「風の舞」というタイトルだが、本当の意味で音楽が舞っていたのはこのバンドだけだった。勿論、やりたい音楽を音楽として表現出来るレベルに達する基本的な鍛錬があっての話だが、このバンドはそれを凌駕した上で、更なる個性を音楽に吹き込んでいるのが素晴らしい。自由曲も、ラフマニノフがこの演奏を聞いて喜ぶかどうかは別にして、中央大学のラフマニノフに消化しきっているのがお見事。惜しむらくは、サウンドがやや乾燥していて、情緒感を表現するのに役不足だったところか。全国大会の会場は東京文化会館。この会場はステージ上でかなり倍音が増幅される会場なので、この勢いを持ったサウンドが、大きく化ける可能性も秘めている。プログラム一番でバシッと決めていただこう。
6: 創価大学パイオニア吹奏楽部 (指揮 : 磯貝富治男)  銀賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より(S.プロコフィエフ/林 紀人)何年か前までのこのバンドは、非常にきらびやかなサウンドという印象があったが、去年そして今年と、やや焦点のぼやけた靄にかかよったようなサウンドになってしまったのが残念だ。今回も課題曲の冒頭から、いまひとつ歯切れのない音楽になってしまっていた。中盤以降、やや持ち直すが、ここ数年激戦区となりつつある大学の部においては、前編を通して主張のはっきりした音楽を作り上げないと、代表には手が届かないと思う。自由曲になると、サウンドもだいぶ安定して行くが、そうなると今度はアンサンブルのちょっとした乱れが路程されてしまっていた。奏者、指揮者共に、潜在能力は高いはずで、お互いの思いがブレンドし合えば、そのレベルは飛躍的にアップするはずだ。巻き返しに期待したい。
東京都予選その他の金賞団体/東洋大学吹奏楽研究部 (指揮 : 秋山大輔)
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 : 「シバの女王、ベルキス」より(O.レスピーギ/小長谷宗一)
東京都予選銀賞受賞団体東海大学吹奏楽研究会・朝鮮大学吹奏楽部・東京理科大学1部体育局吹奏楽部・亜細亜大学吹奏楽団・専修大学吹奏楽研究会・明治学院大学吹奏楽部・東京農業大学全学応援団吹奏楽部・法政大学応援団吹奏楽部・杏林大学吹奏楽団・明治大学応援団吹奏楽部
東京都予選銅賞受賞団体/早稲田大学応援部吹奏楽団・大東文化大学文化団体連合会吹奏楽団・国士館大学吹奏楽部・帝京大学学友階文化局吹奏楽部・拓殖大学麗澤総務局吹奏楽部
1: 東京ガス吹奏楽団 (指揮 : 神足一衛)  銅賞
課題曲 2: エアーズ(田嶋 勉)
自由曲 :
音楽祭のプレリュード(A.リード)
2: 日立ソフトエンジニアリング 音楽隊(指揮 : 境野達男)  銅賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
三日月に架かるヤコブのはしご(真島俊夫)
3: NTT東日本東京吹奏楽団 (指揮 : 山田昌弘)  金賞東京代表
課題曲 3: 祈りの旅(北爪道夫)
自由曲 :
交響組曲第2番「GR」より(天野正道)朝早い時間から、非常に重厚な木管のサウンドから課題曲はスタート。いやいや、職場の部もここ数年で上位団体の演奏は拮抗してきたんだなという印象をまず持った。この日の演奏は、定期演奏会等を含めて、ここ数年で最も安定感のあるバランスのよる取れた演奏だった。自由曲も、おなじみとなったこの曲を、新鮮味を持って聞かせてくれた。全国大会でも充分に上位を狙えるだろう。
4: ソニー吹奏楽団 (指揮 : 川本統修)  銀賞
課題曲 2: エアーズ(田嶋 勉)
自由曲 :
映画音楽「壬生義士伝」より(久石譲/萩野松宜)朝速い時間の調整がうまくいかなかったのか、いまひとつサウンドが乾燥しがちで、課題曲では、発音ミスが目だったのは痛かった。アンサンブルも乱れがちで、去年の代表団体としては少々寂しい感じではあった。そして自由曲。こういう楽曲の発掘は職場の部ならではのものだろう。しかし、ここでも、サウンドに艶は戻らず、また他楽器と管楽器間のバランスの悪さも路程してしまっていたのは残念だった。少々気負いもあったか・・・・。
5: 東芝府中吹奏楽団 (指揮 : 村上毎子)  銀賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス(D.ギリングハム)ここも非常に安定したサウンドでスタートする課題曲が心地よかった。ただ、和太鼓は、あの音量では弱すぎで、リズム感が全く感じられなくなっていたのが残念。あと、奏者が指揮を見て演奏するというよりは、指揮者が演奏に合わせて振っているという感じがしたのはなぜだろう。そのためか、ところどころでアンサンブルが破綻してしまっているのが残念だった。自由曲になると、アンサンブルはかなり安定したが、演奏と指揮のミスマッチングは、最後まで続いた。言い方に語弊があるかもしれないが、職場の部とはいえ、棒を振るからにはやはり最低限の方法論を踏襲して欲しい。奏者の潜在能力は、職場の部のどの団体よりも持っているだけに、非常に勿体ない。
東京都予選銀賞受賞団体郵政中央吹奏楽団
1: 豊島区吹奏楽団 (指揮 : 西村 友)  銀賞
課題曲 2: エアーズ(田嶋 勉)
自由曲 :
「ガイーヌ」より 序奏、友情の踊り、アイシェの孤独、収穫祭(A.ハチャトウリャン/林紀人)
2: 東京正人吹奏楽団 (指揮 : 鈴木正人)  銅賞
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
ディオニソスの祭(F.シュミット)
3: ミュゼ・ダール吹奏楽団 (指揮 : 野上博幸)  銀賞
課題曲 5: サード(田渕浩二)
自由曲 :
ハリソンの夢(P.グラハム)難曲に挑戦して去年の雪辱を果たしたが、このバンドには、こういう選曲がなぜか似合う。課題曲も自由曲も、しっかりと分析され、よく吹きこなしていたが、全体的にサウンドが不明瞭なのが少々気になった。特に、この自由曲はエッジの利いたサウンドで展開して欲しい楽曲なので、なおさら気になったのかも知れない。都大会では、広い会場いっぱいに、楽曲の持つエネルギーをまき散らしてもらいたいものだ。都大会では、予選よりもまた一歩進んだサウンドと音楽を展開していて、このバンドの可能性の高さを見せつける事になった。課題曲5にチャレンジする精神、そして一般の部の団体で、この自由曲に挑戦するという事は、かなりの出席率で練習を重ねなければならないという、スクールバンドにはない十字架を背負うことになるわけだが、その実態はどうだったんだろう・・・・と余計な事を思ったりもしてしまう。来年は、グロリアが差年連続出場のお休みとなるため、多くの団体が、勝負をかけに来ると思うが、このチャレンジ先進を忘れずに、ドカンと勝負に出てもらいたい。
4: 創価グロリア吹奏楽団 (指揮 : 佐川聖二)  金賞東京代表
課題曲 1: 吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
自由曲 :
カントゥス・ソナーレ(鈴木英史)課題曲1の解釈と表現力は、大会を通しても、ぶっちぎりの再現力を誇示していた感じで、このバンドにはコンクールにおける死角を見いだすのが難しい。サウンドも、ひとつひとつ丁寧に積み重ねられ、その上でブレンドされているので、バランスも申し分ない。ただひとつ難をあげるとすれば、自由曲が音楽として、さほど魅力がない・・・・という部分だろうか。アマチュアとしては、行き着く処まで行った感があるものの、去年もそう思ったわけで、しかし、確実に去年よりも更に進化している。予選に比べると都大会は少々細かいミスもあったりして、あれっと思ったのも事実だが、それでも何事も無かったように代表権をゲットするというのは、活動の重心がしっかりとしているからなのだろう。課題曲1は、今大会を通じて、また各地の地区予選をも通じて、そのチューニング具合や音量など、絶妙以上の完璧なバランスで、技術力の高い管楽器群の演奏を見事にサポートしていた。こうしたバランス感は、サウンドだけでなく、音楽の細部に至るまで充分に発揮されている。まさにすきのないサウンドと音楽で、全国大会でもこうした安定感は全く揺るぐ事はないだろう。贅沢を言えば、何らかのハプニング(勿論いい意味での)も欲しいところだが、でもあの入場料でこうしたレベルの音楽を聞くことが出来るだけで、満足すべきなのかも知れない。
5: 葛飾吹奏楽団 (指揮 : 津田雄二郎)  銀賞
課題曲 3: 祈りの旅(北爪道夫)
自由曲 :
序曲「ピーター・ルー」(M.アーノルド/近藤久敦)課題曲自由曲共に、非常に堅実な音楽とサウンド作りで好感が持てる。世の中の流行に流されることなく、独自のスタイルを守り続けるというのは、難しいし、それを実行しているというのは立派。ただ、堅実なだけに、いい意味でのハプニングに欠けるのも事実。期待通りの音楽だけではなくて、予想外の展開というものも加味されれば、音楽としての聞き応えが増すことだろう。スタイルとしてはサウンドも音楽も、一昔前的な感じがしないでもないが、でも流行にただのるというのではなく、伝統を大事にするというスタイルも非常に重要で、その努力は報われるという事を、今年のこのとバンドは証明してくれた。課題曲にしても自由曲にしても、非常に丁寧に真摯に取り組んでいるというのが手にとるように解る演奏だった。ややピッチが不安定に感じられた予選の時よりも、更にレベルアップして来たのもお見事。これを大きな土台として、個性や音楽的な主張みたいなものをプラスアルファして行ければ、更に音楽的な幅が広がるだろうと思う。去年の東京予選落ちというのは非常に不可解な感じがしたが、今年こうして本来のポジションに戻って来た事に大きな拍手を送りたい。
6: プリモアンサンブル東京 (指揮 : 上原圭詞)  銅賞
課題曲 3: 祈りの旅(北爪道夫)
自由曲 :
交響詩「ローマの祭」より、主顕祭(O.レスピーギ/上原圭詞)