東京都大会プログラム/府中の森芸術劇場他
1: 足立区立第十一中学校吹奏楽部 (指揮 : 宇野浩之) 銅賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲 :
「GR」よりシンフォニック・セレクション(天野正道)年を追うごとに成長して来たバンドなので、今年は期待していたのだが、特にサウンド面で今年は後退してしまった感が否めなかった。全体的に艶を欠き、ピッチもやや不安定で、それが音楽そのものにも影響してしまっていたのが残念だった。この指揮者の音楽性は非常に高いものがあると思われるが、それを表現する為のサウンドの構築に、今一度情熱を注いで頂きたいと思う。
2: 中央区立日本橋中学校吹奏楽部 (指揮 : 豊田千絵) 銀賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
交響詩「ローマの祭り」より(レスピーギ)女性指揮者のもと、ダイナミックレンジの広い安定感のあるサウンドが特徴のバンドだが、全体的に音楽的な整理がなされていなかったのが残念だった。課題曲ではその為に、後半部分では主旋律と対戦率が真っ向から対決してしまうことになったり、勢いで突っ走る感じの音楽になってしまったのが惜しい。自由曲でも、この難曲を見事に生徒達は吹いていたが、ここでもやはり野放し状態で、音楽的な整理に手が付けられていなかったのが残念。終盤はそのせいもあってかアンサンブルも破綻してしまっていた。音楽は勢いや迫力で聞かせるものでなく、様々な要素の中のどの部分を聞かせたいのか、そのためにはどういうバランスを取ればいいのか・・・・であり、それがクリア出来れば格段に成長するバンドだと思う。
3: 武蔵村山市立第四中学校吹奏楽部 (指揮 : 古川 諭) 銅賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
歌劇「雪娘」より軽業師の踊り(チャイコフスキー)この編成では課題曲1は無謀だったかも知れない。またサウンドが非常に乾燥しきったものになっていたために、音楽に表情を付けようとする姿勢は見られても、それが音に繁栄されていなかったのが残念だった。自由曲では、非常に技術的に訓練された演奏を展開していたが、やはりサウンドが伴わず、音楽に息を吹き込むことが出来なかったのが残念。音楽を表現するための潤いのあるサウンドの追及がこのバンドも望まれる。
4: 小平市立小平第三中学校吹奏楽部 (指揮 : 中村睦郎) 金賞東京代表
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
アルプスの詩(チェザリーニ)イントロが流れた瞬間に、この学校が東京の中学校の中でも、抜きん出たサウンドを持っているのがよくわかる。クラリネットでのバッキングも、行進曲の王道を行く表現力で、全部門を通じてもこうした演出がしっかりと課題曲2番で施されていたのは、このバンドだけだったように思う。しかし、ところどころでバランスを崩す場面も見られ、この辺は、全国大会までにしっかりと仕上げて来るのだろう。それにしても、終了部もしっかりと旋律が前面に出てくるバランスの妙は素晴らしい。さて、自由曲では、個々の楽器の技術とサウンドのレベルの高さを示してはいたが、サウンド的にも音楽的にもブレンド感がなく、情景描写を明確に提示するまでには至らなかったのが残念。しかし、この部分も経験豊富な指導者と卓越したプレイヤーたちは次のステージではしっかりと克服して来ることだろう。
5: 玉川学園中学部吹奏楽部 (指揮 : 土屋和彦) 金賞東京代表
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
喜歌劇「微笑みの国」セレクション(レハール/鈴木英史 )課題曲の冒頭から、サウンドが未完成な印象を与える、そんな危うさを感じさせた。テンポ感や疾走感は感じられるものの、何か覇気が感じられないというか、しっくり来ない感じがしたのも事実。休み開けという事もあって、コンクールという場の感覚がまだ取り戻せていないのだろうか。しかしそんな中でも、アンサンブル力のレベルの高さは健在で、音楽的な安心感があったのが幸いだった。さて、自由曲は鈴木氏の新作アレンジで、またまたレハールもの。メリーウィドウのようなメジャー感はないが、適度に憂いのある旋律が心地よい。しかし、ここでも若干のピッチの不安定感や、サウンドの艶の無さが気になったのは事実。なんとか表現力とアンサンブル力で乗り切ったものの、全国大会に向けて、かなり不安感の漂う演奏になってしまった。名古屋での挽回に期待したい。
6: 八王子市立由井中学校吹奏楽部 (指揮 : 田中秀幸) 銀賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
バレエ音楽「ヴァレンシアの寡婦」より(ハチャトゥリアン)サウンドそのものは安定していて、適度に艶のある心地よいものだったが、全体的に安全運転している感の強い音楽で、いまひとつアピールしたいものが伝わって来ない演奏だった。また強弱の付け方に自然さがないために、音楽に入り込めない演奏だったのも事実。譜面の再現力は非常に高いものを持っているので、更なる音楽的な追及が望まれる。
1: 都立杉並高等学校吹奏楽部 (指揮 : 五十嵐清) 銅賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」より(M・ラヴェル)豊かな木管のサウンドで定評のあるこのバンドだが、課題曲では、金管と木管、そして打楽器のサウンドがいまひとつブレンドせずに、音楽が平面的になってしまっていたのが残念だった。自由曲では、パントマイムを挿入したせいか、夜明けでの不自然なカットが2箇所ほどあって、音楽的な流れをせき止めていたのが残念。全員の踊りにも不自然なカッとが一箇所あったかな。木管の美しいサウンドを聞かせたいという気持ちはわからないでもないが、夜明けの部分を切ってまでもパントマイムをやる必要は無かったのではないか、と思われる。しかし、基本的な技術力は高い水準にあるので、サウンドのブレンド感と音楽的な演出に力を注げば、バンド本来の持ち味を取り戻すことだろう。
2: 東海大学菅生高等学校吹奏楽部 (指揮 : 加島貞夫) 銅賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲 :
交響詩「ローマの祭り」より、I.チルチェンセス、IV.主顕祭(O・レスピーギ)課題曲の登場感は非常に心地よかったが、主旋律の発音にややわざとらしさが感じられたのが残念。また、トリオあたりまでのバランスは良かったが、後半は主旋律とオブリガードの戦い状態になり、整理が付かないまま終わってしまったのも惜しい。自由曲においても、プレイヤー達の技術力の高さは発揮されていたが、やや整理不足な面が感じられたのと、テンポ設定に不自然さが見られたのも事実。また、ホールが暖まり切ってないからか、管楽器の高音部がやや悲鳴をあげていたのも、出演順とはいえかわいそうだったかも知れない。
3: 八王子高等学校吹奏楽部 (指揮 : 高瀬新一郎) 銀賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
交響詩「英雄の生涯」より(R・シュトラウス)非常に登場感といいテンポ感といい絶妙で、これぞマーチという感じのスタートだった。トリオ以降も、各楽器のバランスが非常によく取れていて、全体像の把握しやすい演奏だったと思う。やや、後半に向けて鍵盤打楽器とベースラインが出過ぎの印象もあったが・・・・。しかし、自由曲では一変して、全体的に靄がかったような感じになり、焦点がぼけた演奏になってしまっていたのが残念だった。リヒャルト・シュトラウスの楽曲は、重箱の隅を突くぐらいに整理を施さないと、音像がオーディエンスに伝わらないが、そこに到達する前に東京都大会を迎えてしまった感じか。あとピッチの不安定さも少々気にはなった。しかし、奏者達の技術力は非常に高いのも事実だ。
4: 東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部 (指揮 : 畠田貴生) 金賞東京代表
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
楽劇「サロメ」より七つのヴェールの踊り(R・シュトラウス)昨年のリベンジの思いからか、揺るぎない意志と決意の感じられるファンファーレだった。ひとつひとつの楽器のサウンドがクリアで、しかもよく整理されているからか、音楽に一体感が感じられる演奏だった。この日課題曲1を演奏した中でも、最も安定感と心地よい流れを感じさせてくれる演奏だったと思う。ただ、木管楽器にもう少し憂いのある響きがあると、より音楽が立体的になると思うのだが・・・・。さて、自由曲の冒頭は、ともすれば珍ドン屋風になってしまう危険性があるわけだが、妖艶な女性をテーマにした楽曲のオープニングとしては、やや研究の余地ありかも知れない。しかし、中盤以降の表現力は秀逸で、また、大編成である事を忘れさせてくれるような一体感のある音楽には、脱帽状態だった。ここで達成感を感じることなく、全国大会のステージでは更に磨きをかけたサロメに出逢いたいものだ。
5: 都立片倉高等学校吹奏楽部 (指揮 : 馬場正英) 金賞東京代表
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
バレエ音楽「中国の不思議な役人」より(B・バルトーク)ややピンポイントを外してしまった感じのファンファーレだったが、その後はすぐに立ち直り、明確な主題の提示と展開へと繋がれて行った。このバンドは旋律の聞かせ方は非常にいいのだが、バッキングの3連がいまひとつ正確さに欠けていて、やや前進感の無いマーチになってしまっていたのが残念だった。サウンド的にも、もっと中音域が安定すると、更に心地よいものになると思う。逆に自由曲では、このサウンドがプラスに働き、輪郭のはっきりとした音楽に仕上がっていた。冒頭は、鍵盤打楽器とのバランスを崩してしまっていたが、指揮者のパフォーマンスも含めて、独特の世界観を演出していたのはお見事だった。全国大会では輪郭の良さだけでなく、内声をしっかりと響かせたもうワンランク上の「お役人」に出逢いたいものだ。
6: 駒澤大学高等学校吹奏楽部 (指揮 : 吉野信行) 銀賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」より戦いの踊り・夜明け・全員の踊り(M.ラヴェル)課題曲の冒頭から、非常に安定して豊かなサウンドが会場に広がった。リズム感もテンポ感も絶妙で、お手本のような課題曲だったと言えるだろう。ただピッコロのソロの部分では、それを聞かせようとやや主旋律を抑えすぎてしまった感はあったが、サウンドの絞まりも音楽としての絞まりも良く、快適な3分間だった。さて自由曲は、このバンドも「戦いの踊り」を挿入したために、夜明けの部分での不自然なカットを余儀なくされたようだ。こうした事は、大会によってはあまり関係なかったりもするが、東京都大会高校の部のような高いレベルでの僅差の争いの場合は、ちょっとした音楽的心理のブレが致命傷にもなりかねない。個人的にはしっかりと「夜明け」を聞かせた方が好印象だったのではないかと思う。技術的にも演奏的にも音楽的にも、普通に全国金賞レベルのものを持っていただけに、残念だった。しかし、全員の踊りの中盤から終盤にかけては圧巻で、これをクリアに演じ切ったプレイヤー達に、個人的に絶賛と賞賛を送りたい。
1: 明治大学応援団吹奏楽部 (指揮 : 石津成人) 銀賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
アルプスの詩(F.チェザリーニ)
2: 中央大学学友会文化連盟音楽研究会吹奏楽部 (指揮 : 小塚 類) 金賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
舞踏組曲より(B.バルトーク)サウンドも音楽も輪郭からディテールの細部までクリアに再現する演奏だったが、ともすると雑な印象を受けてしまう部分が見られたのが残念だった。また、課題曲においては、時折極端な表情を付ける部分が、意図的な音楽的表現に浮けとられてしまう場面があったのも惜しい。そういう意味では、自由曲の選択は、このバンドのサウンドにマッチングしていたと思うが、ここでも、若さが躍動感に繋がらなかったのが残念。個々の技術的なレベルは非常に高いと思うが、その個々がひとつになって合奏する事の意味をもう一度原点に戻って見つめなおせば、おのずと日々やるべき事が見えてくると思うが・・・・。とはいえ、非常に高いレベルを維持しているのは、確かだ。
3: 立正大学吹奏楽部 (指揮 : 佐藤正人) 金賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
交響曲より、第4楽章(矢代秋雄)非常に安定感のあるサウンドで聞くこの課題曲は心地よい。テンポも安定していて、理想的な展開を見せる課題曲だった。が、ひとつ前の中央大学のあとに聞くと、やや輪郭のはっきりとしない曖昧なサウンドなのが気になった。そのためかキメの部分でいまひとつ場面転換を図れない部分があったのが残念だった。さて自由曲は、楽曲そのものも輪郭のはっきりしないものだったからか、全体を通して靄がかかったうな演奏になってしまったのが惜しい。くしくも一般の部の東北代表を勝ち得たベテラン指揮者のバンドが並んだが、その高い音楽的な要求にプレイヤーたちが応えきれなかった・・・・という感じがしたのも確か。とはいえ、このバンドも非常に高いレベルにあるのは間違いない。
4: 早稲田大学応援部吹奏楽団 (指揮 : 進藤 潤) 銅賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
管弦楽組曲「第六の幸運をもたらす宿」より(M.アーノルド/瀬尾宗利)
5: 東海大学吹奏楽研究会 (指揮 : 定岡利典) 金賞
課題曲 5: リベラメンテ 吹奏楽による(出塚健博)
自由曲 :
アルプス交響曲より(R.シュトラウス)課題曲は、やや消化不足が否めない演奏だった。今年の課題曲5は楽曲の持つ映像感を音楽的に表現するのがやや難しいタイプの曲だ。音符上はしっかりとさらっていても、そういう部分での音楽的な表情を付けるまでには至らなかったのが残念。自由曲はこの作曲者特有の音楽的な立体感を見事に再現していたが、ややサウンドのブレンド感が弱く、金管と木管、そして打楽器がそれぞれに離反して聞こえて来たために、ここでも音楽のもつ情景感や情緒感を表すには至っていなかった。毎年レベルの高い演奏を繰り広げているバンドではあるが、更なるアナリーゼや映像的音楽表現に対する追及がなされれば、飛躍的に成長するのではないかと思われる。
6: 杏林大学吹奏楽団 (指揮 : 中村 匠) 銀賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲 :
ルーマニア民族舞曲(B.バルトーク)
7: 亜細亜大学吹奏楽団 (指揮 : 雲井雅人) 銀賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
バレエ音楽「ライモンダ」より(A.グラズノフ)
8: 朝鮮大学校吹奏楽部 (指揮 : 洪 瑛暑) 銀賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
豊作を願う人々
9: 駒澤大学吹奏楽部 (指揮 : 上埜 孝) 金賞東京代表
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
交響曲第5番「革命」より 第4楽章(D.ショスタコーヴィチ/C.B.ライター)課題曲冒頭のファンファーレはちょっとこのバンドらしからぬ焦点のぼけたものとなったが、それ以降は非常に個性溢れる課題曲となった。自由曲のためか、若干テンポ設定が速かったのは残念だったが、そのテンポの中でも音楽のすべての要素が過不足無く入れ替わり立ち代わり再現されて行く鮮やかさには脱帽だった。自由曲も、オーケストラがオリジナルのこの楽曲を、まるで自身のオリジナルであるかのように見事にものにした圧倒的な存在感を持つ演奏だった。また、これだけサウンドのボリューム感がありながらも、金管楽器や打楽器の強奏が木管楽器をかき消すことなく、時には浮かび上がらせ、時には心地よくブレンドさせるという段階まで仕上げてきたのは、多くの大学が出演したこの日の演奏の中でも随一のものであった。個人的には、去年の木星の時もそうだったが、このバンドのトランペットのサウンドが非常に好きだ。サウンドそのものというより、サウンドが作り出す真空的空間・・・・とでも言ったらいいのだろうか。それを感じられるのは、数ある吹奏楽団の中でも、自分の中では、ここだけなのである。更に、木管楽器の音圧の高さも、素晴らしい。もう一度大阪でこの演奏に出会えるのが、嬉しい。文句なしの代表ゲットである。
10: 大東文化大学文化団体連合会吹奏楽団 (指揮 : 野村秀樹) 銅賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
「鳳凰」〜仁愛鳥譜(鈴木英史)
11: 法政大学応援団吹奏楽部 (指揮 : 荒木玉緒) 金賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
喜歌劇「微笑みの国」セクション(F.レハール/鈴木英史)
12: 創価大学パイオニア吹奏楽部 (指揮 : 磯貝富治男) 金賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
バレエ音楽「ガイーヌ」より(A.ハチャトゥリャン/稲垣卓三)このところ代表から遠ざかっているこのバンドだが、課題曲の冒頭から非常に疾走感のあるポジティブな音楽を聞かせてくれた。ただ、その疾走感が時には乱暴なものになってしまう場面も見られ、もう少し情緒のある部分を演出しても良かったのでは、と思われる。自由曲では、このバンドの個々の奏者の技術的なレベルの高さを誇る快演だったが、後半は打楽器協奏曲のようになってしまい、随所で管楽器の存在感を失わせていたのが惜しまれる。潜在的な能力は非常に高いバンドだと思うが、このバンドならではの「音楽」の追及がなされれば、その評価もぐ〜んと高くなると思うのだが・・・・。
13: 帝京大学学友会文化局吹奏楽部 (指揮 : 武島恒明) 銅賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲 :
コリアン・ダンス(高昌帥)
14: 東洋大学吹奏楽研究部 (指揮 : 秋山大輔) 銀賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
楽劇「サロメ」より、七つのヴェールの踊り(R.シュトラウス/M.ハインズレー)
15: 拓殖大学麗澤会総務局吹奏楽部 (指揮 : 大木孝雄) 銀賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲 :
アイヴァンホー(B.アッペルモント)
16: 青山学院大学学友会吹奏楽バトントワリング部 (指揮 : 関根 敦) 銀賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
バレエ音楽「ガイーヌ」より(A.ハチャトゥリャン/林紀人)
17: 国士舘大学吹奏楽部 (指揮 : 米良 勇) 銅賞
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲 :
レミニサンス(長生淳)
18: 玉川大学吹奏楽団 (指揮 : 田中 旭) 金賞東京代表
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
交響曲第2番より(F.ティケリ)課題曲の冒頭は、マーチの快活感というよりは、非常にしなやかで艶やかなイントロとなった。楽曲全体を通しても、このバンドのサウンドはその艶やかさが特徴で、また旋律がくっきりと浮かんでくるという、音楽の基本をしっかりと押さえた演奏だった。自由曲も楽曲のインパクトには欠けるものの、音楽的な構成のはっきりした曲で、このバンドは、非常に誠実かつ繊細で、輪郭のはっきりとした音楽に作り上げていた。ただ、やや個々の楽器のサウンドに未完成な部分が見られたのも事実で、それが克服されれば、更にひと化けふた化けする可能性を秘めているのも確か。とはいえ、コンクール全体を通して、金管や打楽器群の必要以上の強奏が続く中で、まさに清涼剤のような、爽やかな風を届けてくれる演奏だった。全国大会には初めて駒を進めたと思われるが、更に爽やかな旋風を巻き起こしてもらいたい。
19: 日本大学吹奏楽研究会 (指揮 : 石井孝明) 金賞
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
シャイン・アズ・ザ・ライト(P.グレイアム)
20: 専修大学吹奏楽研究会 (指揮 : 大橋晃一) 銀賞
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
マゼランの未知なる大陸への挑戦(樽屋雅徳)
21: 東京農業大学全学応援団吹奏楽部 (指揮 : 隠岐 徹) 銀賞
課題曲 5: リベラメンテ 吹奏楽による(出塚健博)
自由曲 :
交響三章より、第3楽章(三善晃)
1: 東京ガス吹奏楽団 (指揮 : 神足一衛) 銅賞832
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
メリーウィドゥ・セレクション(F.レハール/鈴木 英史)
2: 郵政中央吹奏楽団(指揮 : 紙谷一衞) 銅賞731
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 : 着飾れ、おゝ愛しき魂よ (J.S.バッハ/紙谷一衞)
3: 日立ソフト音楽隊 (指揮 : 境野達男) 銅賞771
課題曲 3: ストリート・パフォーマーズ・マーチ(高橋宏樹)
自由曲 :
沖縄民謡による組曲(真島俊夫)
4: ソニー吹奏楽団 (指揮 : 東海有美) 銀賞884
課題曲 2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
ラ・ボエーム〜クリスマスシーン (Gプッチーニ/森田一浩)
5: NTT東日本東京吹奏楽団 (指揮 : 山田昌弘) 金賞東京代表911
課題曲 1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
三つのジャポニスム (真島 俊夫)
6: 東芝府中吹奏楽団 (指揮 : 村上圭吾) 銀賞872
課題曲 4: サンライズマーチ(佐藤俊介)
自由曲 :
写楽(高橋伸哉)
1: 豊島区吹奏楽団 (指揮:西村友) 898 銀賞
課題曲
1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
シンフォニエッタ〜水都のスケッチ (J・ヴァン・デル・ロースト) 安定感のあるサウンドとは裏腹に、ややピントがボケた感じの課題曲のスタートだった。そしてかなり遅い設定のテンポで「ローマの平和」というよりは「ローマの憂鬱」という感じになってしまっていた。トップで通過した予選でも、こうしたテンポ設定だったのだろうか。サウンドそのものに大きな穴があったわけではないので、音楽的な処理が悔やまれる。さて自由曲になるとややサウンドがこもりがちになり、楽曲の持っている情景が鮮明に描ききれなかったのが惜しい。歴史のある大編成バンドだけに懐の深い奥行きを持った音楽を期待していたが、やや拍子抜けに終わってしまった。ベーシックなものはしっかりあるバンドなので、音楽に対するよりポジティブなアプローチを今後期待したいものだ。
2: Soul Sonority (指揮:五十嵐学) 875 銅賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
序曲「ピータールー」(M・アーノルド/近藤久敦)
3: ARTHUR Symphonic Winds TOKYO (指揮:菅原徳太郎) 863 銅賞
課題曲
2: マーチ「春風」(南 俊明)
自由曲 :
管弦楽組曲「第六の幸福をもたらす宿」より (M・アーノルド/瀬尾宗利)
4: ミュゼ・ダール吹奏楽団 (指揮:野上博幸) 879 銀賞
課題曲
1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
コリアン・ダンス (高昌帥) 予選上位団体の中では、もっとも若さと躍動感に溢れるサウンドと音楽を持っているバンドだけに期待していたが、期待にたがわないオープニングだった。その後も前進力のある旋律の歌い方は見事だったが、たとえば、ベースラインやバッキングのサウンドや表現力がいまひとつ画一的で無機質な部分も見られたために、音楽が平面的になってしまっていたのが残念だった。音楽はいろんな要素が入り交じって構成されているわけで、そのひとつひとつが、それぞれの表情を持つことで、楽曲はより一層立体的になって行く。ここまで力のあるバンドなら、更にそういうアプローチも可能になるはずだと思うが。さて、自由曲は、課題曲以上に個々の楽器の表情が要求され、それがうまく行かないと更に平面的な音楽に陥ってしまいがちな構成の曲だが、やはりその点での画竜点睛がうまく行かなかったと思われた。プレイヤー個々の技術力も高く、指揮者の情熱も感じられるパフォーマンスだったが、やや若さの方が先走ってしまった感じか。しかし、東京の一般団体の中核を、今後担って行くバンドのひとつであるのは間違いない。
5: 東京正人吹奏楽団 (指揮 : 鈴木正人) 884 金賞東京代表
課題曲
1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
「幻想交響曲」より (H・ベルリオーズ/鈴木正人) まず課題曲の登場感が、抜群だった。ここでかなりのオーディエンスと審査員を引き込めたのは大成功だったことだろう。ただ、それに安心したのか、主題の提示部分で、若干サウンドがブレたりする場分が見られたのは残念。この部門では、少しの緊張の緩みも致命傷になる。しかし、その後の展開におけるサウンドの充実ぶりや、的確なテンポ設定、絶妙なサウンドのバランスは、一般の部の中でも抜きん出ていたのは確か。代表への意気込みを感じさせる演奏だった。ただ、終盤意図的にテンポダウンする場面で、アンサンブルが音を立てて崩れたのは惜しい。まあ一度こういう事があれば、次回はうまく行くのだろう。さて自由曲は吹奏楽界ではレトロな感じのする楽曲だが、流行り物や一般受けの難しい楽曲が並びがちな一般の部にあって、こういう選曲は、一生音楽と向き合って行く中でのひとつの指針ともなるもので、この勇気にまずは拍手を送りたい。また、プレイヤーたちの息のほぼ100%が楽器を通して客席に振り落ちてくるかのようなサウンドの素晴らしさと、緻密なアンサンブルも秀逸だった。ただ、表にはあまり出てこない部分の音の処理に、まだ課題があり、レベルが更に高くなる全国大会一般の部に臨むに当たっては、まだまだ細かく修正しなければならない部分が多いのも事実。制約のある時間の中とはいえ、更に進化した幻想を聞かせて欲しいと願いたい。
6: 葛飾吹奏楽団 (指揮:津田雄二郎) 888 銀賞
課題曲
1: パクス・ロマーナ(松尾善雄)
自由曲 :
マゼランの未知なる大陸への挑戦 (樽屋雅徳) 往年の懐かしいサウンドがよみがえってくるかのようなイントロだったが、テンポ設定が非常に速く、アンサンブルが破綻する場面があちこちで見られてしまったのが残念。そんな中でも、しっかりと音符を再現していたプレイヤーたちの技術力は見事だが、聞く側としてはやや興ざめな課題曲となってしまった。さて、自由曲では一転してアンサンブルの妙を最大限に楽しませてくれる演奏だった。ただ、楽器個々のサウンドが、独自のサウンドを競演しているかのようで、ブレンド感や一体感に欠けたのが残念だった。せっかく高い技術力を持っているのだから、その技術を生かす音楽のスケッチと、最後のぺインティングを施して来て欲しかった。