(樹童からのご報告)

  この一連メールの発信者様より、樹童の「論調、表現」には「不快な思い」を感じられたと明記され、内容のHPへの掲載を断りますという旨を添えて、メールが届きました(02.3.5附け)。たいへん残念なことです。そのうえで、
「HPを読んでいる方に不快な思いをさせるのが本意ではありませんので、以前の私の応答板の内容は全面的に削除することを希望します」とも記されておりました。

  私には、とても不思議な感覚だとしてしか受け取れません。応答ないし議論を続けるには、一定のマナーが必要ではないでしょうか、その辺を踏まえて節度ある表現がなされても然るべきではないでしょうか(
従って、断定的な判断は慎んでいただきたい旨の表現につながります)、と考えて敢えて表現したつもりですが、それが上掲のように受け取られれば、もう「感覚・認識の相違」ということなのでしょうか。
  歴史事実の原型究明のためには、異なる視点や異なる認識・知識をもつ人々の間で、冷静で厳しい史料チェックが必要だと思われます。ギリギリのやり取りも、時には必要かと思います。それが信念・感情のぶつけ合いだと無駄な話ですし、樹童の本意ではありません。(
この辺の事情は、Enterから入った「ようこそ」の頁をお読み下さい
  責任をもって公開の場でフェアな応答をしたいという趣旨と、公共的な場に一旦掲示したことでもあり、快不快の判断は読者にお任せしたいという意味で、これ以前の掲載分はとりあえずそのままにしておきたい(
註:その後に修正あり。後文参照)、と考えています。これについても、読者の方で何かご意見がありましたら、お示し下さい。

  (02.3.5掲示)

 (ご報告の続き)

 02.6.11付けで、次の趣旨をいい、重ねて削除を求めるメールが届いています。
「繰り返し読んでみても、貴殿の主張は揚げ足捕りのように思われます。
貴殿の言葉を借りれば、入江氏の為憲流については他に異説をみませんし、入江氏が廬原国造の後裔であるとの説は根拠薄弱と考えられます。
  貴殿の好きな言葉である「系図仮冒」をいくら声高に主張してみても、そこからは何ら有益なものは生まれないでしょうし、系図の鑑識眼ほど当てにならないものはないと強く感じます。
  貴殿と不毛な議論をした自分の不明を恥じると共に、早く応答板から削除されますことを強く希望します。」


  このメールを読んで、感覚と認識(
加えて、知識・歴史常識)の相違としてしか感じられません。簡単に反論・説明等をしておきますと、次のようなものです。

 1 個人的な好き嫌いで、「系図仮冒」の可能性を指摘しているわけではありません。歴史や系図の原型の探索のために必要な疑問・批判をもつことが、科学的な姿勢といえるのではないでしょうか。この分野に限らず、盲信と感情論からは、建設的なものは生まれえないと考えます。
 2 わが国の中世系図は、学界も含めて、過信されすぎています。これは、歴史研究にとって危険なことではないでしょうか。この辺の事情は、
樹童の論評・独り言・雑感 のいくつかを読まれれば、分かるはずです。
 3 太田亮博士の名著『姓氏家系大辞典』イリエ条第6項では、次のように指摘しています。
 「阿倍姓 駿河入江氏の出自については疑義あり、果して工藤族なるや調査の要あらん。又一説に此の入江氏は阿倍氏ならんかと云ふ」
 この記事だけで、「他に異説をみません」という表現の明白な誤りであることが分かるはずです。系図研究に最も基本的な同書を全く無視するのは、妥当な研究姿勢とはいえませんし、勝手に持論を展開しても有益な検討結果は得られないと思われます。
  そのうち、私としても、成果として纏まれば、入江一族の出自について、本HPのどこかに掲載したいと考えています。 なお、簡単な説明は、既に本HP所載の「鈴木真年翁の系図収集先」のうちの「男爵大久保春野の呈譜」の項で記しておりますので、これをご覧下さい。系図研究は、関連する諸氏のものとも併せて、総合的に行うことが必要なことはいうまでもありません。
 4 私は、この一連の応答を通じて、たいへん参考になり、有益な示唆を多々受けました。その意味で、感謝しております。これまで、駿河や遠江の諸氏について、古族の末裔という感じをもち、これを含めいろいろな疑問を漠然と持ちながら、認識が弱かったものについて、様々な角度から考え直すことが出来た次第です。
 なお、太田亮博士の『姓氏家系大辞典』等における見解がすべて正しいと考えたことは全くありませんが、同書を系図研究者の殆どが最高峰的な水準と認めることには、やはりそれなりの裏付けがあります。今後は、博士の著作等基本的な文献や研究を多く読まれて十分に研究されたうえ、それらを誹謗されては如何でしょうか。

 5 この応答欄で記してきたことについては、私はそれなりの研究成果と考えますし、不毛な議論とは決して考えません(
読者の方々のご判断に拠るものと思われます)。また、皆様の理解や検討に資するため、議論の経緯をきちんと残すべきだとの指摘も別の方面からありました。一方で、当事者から激しい削除要求が重ねてありますので、何人かと相談し、いろいろ考えた結果、発信者のお名前(及びそれにつながる表現)は匿名にするなど、一部分の削除・修正させていただくことにしました。「恥ずかしい」という感覚を尊重してのものです。

 (02.7.23掲示)

 
上記の応答を通じて、系譜研究の難しさも感じますが、あくまでも冷静に前向きに検討を進めていきたいものです。

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