氏族姓氏概覧試論(一部) 昭和六十一年春に、『古代氏族系譜集成』を刊行してから、十六年(このHPの立上げ時点。現在では二十三年)ほどの歳月が経過したことになる。この間に少しづつ進んできた古代氏族系譜研究を基に、「歴史地名大系」など歴史関連の地名・人名等、様々な分野で資料の整理や、発表された論考・刊行物等を踏まえた検討をしてきたが、それらの成果を何らかの形で取りまとめたいとも思っていた。
本来なら、『古代氏族系譜集成』(以下、『集成』とする)そのものを改訂増補して刊行したいところであり、内容的には検討・整理をかなり進めてもいるが、労力・費用などを含めて、残念ながら、まだ刊行の段階に至っていない。そこで、『集成』改訂の準備作業として、整理しようとしたのが本稿である。
『集成』の各氏族個別系譜の記載の前には、氏族毎に簡単な解説を概説として記したが、とくに氏族に属する諸氏やそれに出自する苗字などは、鈴木真年翁の『苗字尽略解』『列国諸侍伝』などの関係資料を底本として記述していた。その後、多くの系図に出会い、また多くの史料・論考も参照して、検討を続けたところ、真年翁の見解にも種々疑問点が出てきたが、それでも本稿の大部は真年翁や中田憲信・太田亮などの業績に拠っていることに変わりがない。 この概説的な部分は本来あまり分量が多くないので、とりあえず氏族概説の部分を見直そうとしたものである。現在、ほぼ全体が出来上がっているが、かなり大部なものとなっているので、ここではそのほんの一部を、清和源氏、桓武平氏、藤原氏、橘氏の概観として、まず掲げるものである。その後、適宜、追加・追補を考えていきたい。 なお、ここに掲げるものは、いずれも掲載段階での考えの整理であり、相当多く試論部分を含んでいるので、検討の進行如何によってはまだ変更の余地がある。これらも適宜修正・追補を加えていく所存であるから、記事が変更の可能性があることに十分留意されたい。読者からのご批判・教示・指摘を期待する次第でもある。
氏族概覧の目次は次のとおり。 1 清和源氏概観
2 桓武平氏概観 3 藤原氏概観 |